マウス乳がんFM3A細胞におけるベラパミルによるアポトーシス誘導および殺細胞効果の温熱による増強

ベラパミール (VEP) はカルシウムチャネルブロッカーであるがガンの治療にも用いられる.これまで正常温度 (37℃) ではある種のガン細胞ではアポトーシスを誘導しないとの報告がある.そこで我々は, VEPの抗腫瘍効果の温熱による増強の有無をFM3A細胞を用いて, 1) VEP (20μモル) 1時間暴露 (37℃), 2) VEP (20μモル) 1時間暴露 (43℃), 3) 43℃暴露1時間, 4) 37℃1時間 (コントロール) の各条件にて検討した.43℃温熱のみあるいはVEPのみでは, アポトーシス誘導, 殺細胞効果ともに43℃温熱とVEPの併用条件にくらべ低かった.アポトーシスは...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 15; no. 4; pp. 211 - 218
Main Authors 松本, 孝朗, 金田, 英子, 後藤, 信治, 小坂, 光男, 李, 丁範, 大渡, 伸
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本ハイパーサーミア学会 1999
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ISSN0911-2529
1881-9516
DOI10.3191/thermalmedicine.15.211

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Summary:ベラパミール (VEP) はカルシウムチャネルブロッカーであるがガンの治療にも用いられる.これまで正常温度 (37℃) ではある種のガン細胞ではアポトーシスを誘導しないとの報告がある.そこで我々は, VEPの抗腫瘍効果の温熱による増強の有無をFM3A細胞を用いて, 1) VEP (20μモル) 1時間暴露 (37℃), 2) VEP (20μモル) 1時間暴露 (43℃), 3) 43℃暴露1時間, 4) 37℃1時間 (コントロール) の各条件にて検討した.43℃温熱のみあるいはVEPのみでは, アポトーシス誘導, 殺細胞効果ともに43℃温熱とVEPの併用条件にくらべ低かった.アポトーシスは以下のように処理後1, 6, 24時間と時間依存性に誘導された : 1) 43℃温熱とVEPの併用 (5.2±1.5%, 15.1±2.4%, 35.7±4.4%), 2) 43℃温熱のみ (4.3±1.0%, 8.6±1.0%, 12.8±2.0%), 3) VEPのみ (4.6±0.2%, 5.9±1.0%, 8.0±0.7%).コントロール値は2.0±0.1%であった。増殖抑制効果についても, 43℃温熱のみでは56%, VEPのみでは53%であったが, 43℃温熱とVEPとの併用により96%と高い増殖抑制効果を認めた.43℃温熱によるVEPの殺細胞効果の増強にはアポトーシス誘導の増強が関与することが示唆された.
ISSN:0911-2529
1881-9516
DOI:10.3191/thermalmedicine.15.211