意図的な部分切除術を適用した片側下顎頭骨軟骨腫の1例

骨軟骨腫は成熟した硝子軟骨から構成される良性腫瘍で,顎顔面領域での発生は比較的まれである。患者は39歳男性で,咬合異常と咀嚼障害を主訴に来院した。2007年より左側耳前部の腫脹を自覚し,2010年には顔貌の非対称が認められた。徐々に下顎の右方偏位が著明となり,咬合異常と咀嚼障害を認めたため,2013年1月に来院した。触診にて左側顎関節部に骨様硬の腫瘤を認めた。下顎正中は右側へ12 mm偏位していた。パノラマX線写真では左側の下顎窩と下顎頭の間に境界明瞭なX線不透過像を認め,CTでは左側顎関節部に骨皮質で覆われ,内部に不規則な骨硬化像を伴う,39×30×29 mm大の腫瘤状病変を認めた。骨軟骨腫...

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Published inJournal of the Japanese Society for the Temporomandibular Joint Vol. 27; no. 3; pp. 218 - 224
Main Authors 酒匂, 潤, 黒田, 卓, 林, 洋希, 山田, 耕治, 吉田, 博昭, 辻, 要, 大下, 修弘, 安田, 典泰, 栗岡, 香美, 福田, あおい, 井関, 富雄, 竹山, 旭, 百田, 義弘, 蒲生, 祥子, 森田, 章介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 2015
The Japanese Society for Temporomandibular Joint
Subjects
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu.27.218

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Summary:骨軟骨腫は成熟した硝子軟骨から構成される良性腫瘍で,顎顔面領域での発生は比較的まれである。患者は39歳男性で,咬合異常と咀嚼障害を主訴に来院した。2007年より左側耳前部の腫脹を自覚し,2010年には顔貌の非対称が認められた。徐々に下顎の右方偏位が著明となり,咬合異常と咀嚼障害を認めたため,2013年1月に来院した。触診にて左側顎関節部に骨様硬の腫瘤を認めた。下顎正中は右側へ12 mm偏位していた。パノラマX線写真では左側の下顎窩と下顎頭の間に境界明瞭なX線不透過像を認め,CTでは左側顎関節部に骨皮質で覆われ,内部に不規則な骨硬化像を伴う,39×30×29 mm大の腫瘤状病変を認めた。骨軟骨腫または骨腫の臨床診断で,同年4月に全身麻酔下にて下顎頭を含めた腫瘍切除術を施行した。腫瘍上方部は頭蓋底に接しており,一部に癒着が認められたため,残すこととした。病理組織検査にて骨軟骨腫の診断を得た。現在,術後約2年経過しているが,残存腫瘍の増大などは認めず経過良好である。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu.27.218