全反射型赤外分光法による血糖値の測定

効率的な糖尿病診療のために,血糖値の簡易な測定方法の開発が求められている.今回,全反射型プリズムを用いた光学系を用い,フーリエ変換赤外分光法による血清中のグルコースの定量を試みた.血清は試料ホルダーに入れ,減圧乾燥した.その際,定量値の再現性を高めるために試料ホルダーの形状に工夫を加えた.定量は,グルコース由来の吸収である1038~1020 cm-1付近の吸収を,2点ベース法を用いて行ったが,その吸収領域の選定に2次微分を用いた.また,吸収強度は総タンパク質量に影響されるので,補正を加えた.これらの改善を加えて定量した結果,本法で求めた値と従来の酵素法により求めた値との相関係数が,R =0.8...

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Published in分析化学 Vol. 54; no. 2; pp. 149 - 154
Main Authors 岩田, 大輔, 北村, 彰英, 矢貝, 史樹, 野村, 文夫, 中嶋, 俊晴, 唐津, 孝, 清宮, 正徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2005
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.54.149

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Summary:効率的な糖尿病診療のために,血糖値の簡易な測定方法の開発が求められている.今回,全反射型プリズムを用いた光学系を用い,フーリエ変換赤外分光法による血清中のグルコースの定量を試みた.血清は試料ホルダーに入れ,減圧乾燥した.その際,定量値の再現性を高めるために試料ホルダーの形状に工夫を加えた.定量は,グルコース由来の吸収である1038~1020 cm-1付近の吸収を,2点ベース法を用いて行ったが,その吸収領域の選定に2次微分を用いた.また,吸収強度は総タンパク質量に影響されるので,補正を加えた.これらの改善を加えて定量した結果,本法で求めた値と従来の酵素法により求めた値との相関係数が,R =0.807となり,改善前のR =0.206に比べて著しく優れた結果を得ることができた.この結果は,血糖値の定量に赤外吸収スペクトルを用いることができることを示すものである.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.54.149