農村部後期高齢者における転倒と関連する身体機能の低下を遅延するための介入研究

介護予防支援事業に参加する後期高齢者を対象に, 木藤らが開発した転倒予防のための運動指導プログラムを実施し, 機能低下の遅延効果を身体機能面, 社会心理的側面の指標を用いて検証した. 平成12年10月現在, 長野県A村において, 基本的ADLが自立している75歳以上の高齢者で, デイサービスを利用している55人およびB型機能訓練を利用している16人を対象とした. 11月末にベースライン調査として身体機能の測定と聞き取りを実施し, 介入群34人, 対照群37人の2群に分割した. 介入群に対して, 平成12年12月から平成13年3月の4ヵ月間, 転倒予防のための運動プログラムを実施した. 二週間に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 40; no. 1; pp. 47 - 52
Main Authors 小中, 一輝, 横川, 吉晴, 小須田, 文俊, 甲斐, 一郎, 臼井, 弥生, 古田, 大樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.01.2003
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.40.47

Cover

More Information
Summary:介護予防支援事業に参加する後期高齢者を対象に, 木藤らが開発した転倒予防のための運動指導プログラムを実施し, 機能低下の遅延効果を身体機能面, 社会心理的側面の指標を用いて検証した. 平成12年10月現在, 長野県A村において, 基本的ADLが自立している75歳以上の高齢者で, デイサービスを利用している55人およびB型機能訓練を利用している16人を対象とした. 11月末にベースライン調査として身体機能の測定と聞き取りを実施し, 介入群34人, 対照群37人の2群に分割した. 介入群に対して, 平成12年12月から平成13年3月の4ヵ月間, 転倒予防のための運動プログラムを実施した. 二週間に一回の頻度で, サービス利用日の最後に20分間指導員および理学療法士が運動指導を実施した. 平成13年4月に追跡調査を実施した. 介入の有無, 介入前後を要因とし, 各身体機能項目等を従属変数とする二元配置分散分析を行った結果, BMIと Timed Up and Go Test (以下TUGTとする) について, 介入の有無による差が認められた. BMIは運動指導により介入群で増加し, 対照群では減少した (F=5.623, P<0.01). TUGTについては運動指導により介入群の遂行時間が短縮し, 対照群が逆に延長した (F=6.541, P<0.05). 転倒予防のための集団運動指導により, 一部の測定項目に機能低下遅延の効果が示唆された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.40.47