LC-MS/MSによるcortisolと6β-hydroxycortisolの測定に及ぼす血液採取時の抗凝固剤及び保存状態の影響

著者らはすでに血中コルチゾールと6β-ヒドロキシコルチゾール(6β-OHF)のLC-MS/MS同時定量法を確立し,血中6β-OHF/コルチゾール濃度比がCYP3A活性評価の指標となることを示している.血中6β-OHF/コルチゾール濃度比の臨床応用には,健常人データを蓄積し,基準範囲を設定する必要がある.本研究では,試料収集を簡便にするために,抗凝固剤及び保存法が血中コルチゾールと6β-OHFの定量値へ与える影響の解明を目的とした.また,代替マトリックスを用いない検量線についても検討した.ヘパリンナトリウム,分離剤,EDTA2Kによる採血当日の定量値には差がなく,抗凝固剤が6β-OHF/コルチゾ...

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Published in分析化学 Vol. 71; no. 6; pp. 357 - 363
Main Authors 降幡, 知巳, 柴崎, 浩美, 横川, 彰朋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.06.2022
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.71.357

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Summary:著者らはすでに血中コルチゾールと6β-ヒドロキシコルチゾール(6β-OHF)のLC-MS/MS同時定量法を確立し,血中6β-OHF/コルチゾール濃度比がCYP3A活性評価の指標となることを示している.血中6β-OHF/コルチゾール濃度比の臨床応用には,健常人データを蓄積し,基準範囲を設定する必要がある.本研究では,試料収集を簡便にするために,抗凝固剤及び保存法が血中コルチゾールと6β-OHFの定量値へ与える影響の解明を目的とした.また,代替マトリックスを用いない検量線についても検討した.ヘパリンナトリウム,分離剤,EDTA2Kによる採血当日の定量値には差がなく,抗凝固剤が6β-OHF/コルチゾール濃度比によるCYP3A活性評価に影響しないと判断した.また,1週間保存した試料の測定結果より,血液試料の保存は,血漿(けっしょう)あるいは血清に分離した後に凍結保存することが望ましいことを明らかにした.しかし,薬物投与設計において重要となる極めて活性が低い患者を見いだすうえでは,全血液や血清を冷蔵保存した血液試料を用いても問題ないとの結論を得た.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.71.357