中心静脈栄養を施行した内科入院高齢患者における腸管使用した栄養投与法の重要性

目的:経口摂取ができない患者の栄養改善のための静脈栄養の有効性は明らかだが,内科入院高齢患者に対する中心静脈栄養(TPN)が,退院時の栄養状態改善にどの程度寄与するのかは,不明な点が多い.TPN施行患者の退院時の栄養投与法別にTPNの有効性を比較検討した.方法:TPNを行った2013年4月から7年間の高齢患者493人を対象に,入院時と退院時10日以内のAlb・TLC・T-Cho,Znを測定して,栄養評価ツールCONUTを併用した.対象患者を生存退院群,在院死群に分け,さらに退院時の栄養投与法を経口(ON),経腸栄養(EN),末梢静脈栄養(PPN),TPNの4群に区分して,入退院時のAlb,CO...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 58; no. 1; pp. 119 - 125
Main Authors 青山, 恭子, 庭野, 元孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.01.2021
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.58.119

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Summary:目的:経口摂取ができない患者の栄養改善のための静脈栄養の有効性は明らかだが,内科入院高齢患者に対する中心静脈栄養(TPN)が,退院時の栄養状態改善にどの程度寄与するのかは,不明な点が多い.TPN施行患者の退院時の栄養投与法別にTPNの有効性を比較検討した.方法:TPNを行った2013年4月から7年間の高齢患者493人を対象に,入院時と退院時10日以内のAlb・TLC・T-Cho,Znを測定して,栄養評価ツールCONUTを併用した.対象患者を生存退院群,在院死群に分け,さらに退院時の栄養投与法を経口(ON),経腸栄養(EN),末梢静脈栄養(PPN),TPNの4群に区分して,入退院時のAlb,CONUT,Znの改善度を比較検討した.また,退院時の栄養投与法別に男女数,平均年齢,在院日数,TPN投与期間,脂肪乳剤投与患者数と投与期間を調べた.結果:生存退院群では,退院時の栄養投与法がTPNでは,Alb悪化,CONUT有意差.腸管使用のONとENでは,Albは有意差を認めなかったが,CONUTは有意に改善した.Znは,ON,EN,PPN,TPNのすべてで有意に改善した.在院死群では,TPNでAlbとCONUTの有意な悪化,Znの有意な改善を認めた.TPNから離脱できないTPN単独のままの生存退院群では,Albは悪化して,CONUTの改善を認めないことがわかった.結論:TPN施行患者がTPNから離脱して,腸管使用のONとENまで回復して退院すると,CONUTの改善と在院日数短縮が認められた.経口摂取できない高齢患者の栄養状態をTPNで改善させて,腸管使用の段階にまで治療することの重要性が示された.また,Zn欠乏改善に対するTPNの有効性が明らかになった.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.58.119