原爆被爆者養護ホーム2施設における高齢者の腎不全死と利尿薬治療の関係
目的:Geriatrics Gerontology Internationalに,われわれは高齢者の転倒と骨折の予防のための利尿薬節減を報告して,その後もう一つ重要な問題に注目した.われわれは筋肉量,水分量減少がある高齢者に対する利尿薬の使用法に関して,ガイドラインに準拠した標準的使用法とNY方式すなわちミネラルコルチコイド受容体拮抗薬spironolactone12.5 mg隔日投与の比較対照試験の必要性を確認するために,腎不全死と利尿薬使用法の関係を研究した.方法:原爆養護ホーム2施設における1,855名の死亡原因を調査した.その中の48名の腎不全による死亡者について,利尿薬の使用法を調査...
Saved in:
Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 55; no. 4; pp. 640 - 649 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.10.2018
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.55.640 |
Cover
Summary: | 目的:Geriatrics Gerontology Internationalに,われわれは高齢者の転倒と骨折の予防のための利尿薬節減を報告して,その後もう一つ重要な問題に注目した.われわれは筋肉量,水分量減少がある高齢者に対する利尿薬の使用法に関して,ガイドラインに準拠した標準的使用法とNY方式すなわちミネラルコルチコイド受容体拮抗薬spironolactone12.5 mg隔日投与の比較対照試験の必要性を確認するために,腎不全死と利尿薬使用法の関係を研究した.方法:原爆養護ホーム2施設における1,855名の死亡原因を調査した.その中の48名の腎不全による死亡者について,利尿薬の使用法を調査した.また,2施設の407名について,血清クレアチニンによる推算糸球体濾過量と自立度の関係を検討した.結果:われわれは2施設ともに慢性腎不全による死亡者が,一定期間に集中的に多いこと,その中に,ループ利尿薬の連日投与あるいはループ利尿薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の併用連日投与が行われている者を認めた.また,自立度の低下した高齢者の推算糸球体濾過量は,加齢による低下とは逆に,筋肉量の低下により比較的高値を示す者があることを認めた.結語:これらの結果は,筋肉量,水分量の低下した高齢者に対する利尿薬の使用法について,標準的使用法とNY方式の比較対照試験が,転倒骨折の予防のみならず,腎臓の保護の観点からの必要性を示唆した. |
---|---|
ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.55.640 |