母親から口唇裂・口蓋裂のある子どもへ疾患の説明をした際の契機とその理由
本研究の目的は,母親が口唇裂・口蓋裂のある子どもへ疾患の説明をした際の契機とその理由を明らかにすることである。 2016年12月から2017年5月に,口唇裂・口蓋裂の専門的治療を行うA病院に入院中の小学校低学年の口唇裂・口蓋裂のある子どもをもち,既に子どもへの疾患の説明をしている母親13名を対象に,母親が子どもに疾患の説明をしようと思った契機とその理由について半構造化面接を行った。分析は面接内容の録音から逐語録を作成し,母親が子どもに疾患の説明をしようと思った契機とその理由について語られた内容に着目して,意味のあるまとまりにローデータを抽出し,コード化,カテゴリー化を行った。 母親の年齢は平均...
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Published in | Journal of Japanese Cleft Palate Association Vol. 43; no. 3; pp. 216 - 222 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
2018
Japanese Cleft Palate Association |
Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate.43.216 |
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Summary: | 本研究の目的は,母親が口唇裂・口蓋裂のある子どもへ疾患の説明をした際の契機とその理由を明らかにすることである。 2016年12月から2017年5月に,口唇裂・口蓋裂の専門的治療を行うA病院に入院中の小学校低学年の口唇裂・口蓋裂のある子どもをもち,既に子どもへの疾患の説明をしている母親13名を対象に,母親が子どもに疾患の説明をしようと思った契機とその理由について半構造化面接を行った。分析は面接内容の録音から逐語録を作成し,母親が子どもに疾患の説明をしようと思った契機とその理由について語られた内容に着目して,意味のあるまとまりにローデータを抽出し,コード化,カテゴリー化を行った。 母親の年齢は平均39.5(SD=3.9)歳,口唇裂・口蓋裂のある子どもの年齢は平均8.2(SD=0.8)歳,性別は男児6名,女児7名,裂型は唇顎裂3名,唇顎口蓋裂10名であった。子どもに疾患の説明をした時期は,就学前12名,小学校低学年1名であった。疾患の説明の契機は,【小学校入学を契機に】【手術を契機に】【子どもの疑問を契機に】【日々の生活の中で】の4カテゴリーに分類された。【小学校入学を契機に】には,<小学生になったら友達から病気のことを指摘されることがあると思ったため>などが,【手術を契機に】には<手術を受けるときに,父親が隠さず話すべきと考えたため>などが,【子どもの疑問を契機に】には,<小学校入学前までにと思っていたが,保育園の年中あたりで,友達に傷のことを聞かれたが本人が答えられず,傷のことを聞いてきたため>などが,【日々の生活の中で】には,<病気を隠そうという気持ちはなく,本人が分かるようになったら言おうと思っていたため>などが分類された。医療者は,子どもへの疾患説明に関する親の考えをアセスメントし,親が不安なく疾患説明を行えるよう援助していく必要がある。 |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate.43.216 |