近赤外線測定装置を用いた脳局所酸素飽和度測定からみた高齢者および痴呆患者の脳循環についての検討

非観血的に局所脳酸素飽和度(regional oxygensaturation,:rSO2)を前額部で絶対値として測定できる近赤外線cerebral oximeter装置を用いて,健常者,Alzheimer型痴呆(AD)および脳血管性痴呆(VD)につきrSO2の検討を行った. 健常者では年代別のrSO2の平均値は20歳代に比べ30歳代から70歳代までは有意な変化はなかった.80歳代では20歳代に比べ有意な上昇を認めた.加齢により脳血流が低下することはすでに知られている.さらに本研究の検討条件および本装置の原理から80歳代でrSO2の上昇は脳酸素消費量の低下の影響が大きいと考えた.ADのrSO2...

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Published in脳卒中 Vol. 20; no. 3; pp. 329 - 335
Main Authors 杉原, 浩, 金子, 誠, 加茂, 力, 高津, 竜太郎, 米山, 公啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1998
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.20.329

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Summary:非観血的に局所脳酸素飽和度(regional oxygensaturation,:rSO2)を前額部で絶対値として測定できる近赤外線cerebral oximeter装置を用いて,健常者,Alzheimer型痴呆(AD)および脳血管性痴呆(VD)につきrSO2の検討を行った. 健常者では年代別のrSO2の平均値は20歳代に比べ30歳代から70歳代までは有意な変化はなかった.80歳代では20歳代に比べ有意な上昇を認めた.加齢により脳血流が低下することはすでに知られている.さらに本研究の検討条件および本装置の原理から80歳代でrSO2の上昇は脳酸素消費量の低下の影響が大きいと考えた.ADのrSO2は高齢健常者と比べ有意な上昇を認めた.また,VDでは高齢健常者に比べ有意に低値であった.これは前頭葉でADでは脳酸素消費量の低下の影響が大きく,VDでは脳血流量の減少の影響が大きいことを反映していると考えた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.20.329