発蛍光標識化タンパク質の網羅定量解析法の開発と応用

タンパク質は,生体内で細胞の形態や機能を直接コントロールしているため,疾患の原因や発症のメカニズムの解明には,タンパク質の量的変化を精確で再現性のある定量分析法にて解析することが重要である.しかしながら,一般的にタンパク質のような高分子化合物をクロマトグラフィーで高分解能に分離することは至難であり,プロテオミクスの分野ではインタクトなタンパク質混合物の直接分離は行われておらず,高感度で定量的な網羅的プロテオーム解析法の開発が望まれている.著者らはベンゾフラザン骨格を有する発蛍光試薬がタンパク質を蛍光標識できることを利用し,標識化タンパク質を逆相高速液体クロマトグラフィーにて分離・定量・差異解析...

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Published in分析化学 Vol. 64; no. 7; pp. 511 - 517
Main Author 一番ヶ瀬, 智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.07.2015
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.64.511

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Summary:タンパク質は,生体内で細胞の形態や機能を直接コントロールしているため,疾患の原因や発症のメカニズムの解明には,タンパク質の量的変化を精確で再現性のある定量分析法にて解析することが重要である.しかしながら,一般的にタンパク質のような高分子化合物をクロマトグラフィーで高分解能に分離することは至難であり,プロテオミクスの分野ではインタクトなタンパク質混合物の直接分離は行われておらず,高感度で定量的な網羅的プロテオーム解析法の開発が望まれている.著者らはベンゾフラザン骨格を有する発蛍光試薬がタンパク質を蛍光標識できることを利用し,標識化タンパク質を逆相高速液体クロマトグラフィーにて分離・定量・差異解析する新規プロテオーム解析法の開発を行った.本論文では,その中でも本手法を実用分析とするための再現性向上,高感度化並びに高分離化に関する研究並びに応用研究についてご紹介する.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.64.511