疾病における脂質代謝ネットワークの機能

脂質は(1)エネルギー源として,(2)生体膜の主要構成成分として,(3)シグナル分子として生命に必須の生体物質である。脂質メディエーターとは,生体内で合成される脂質分子のうち,細胞外の 刺激によって一過的に生合成される生理活性物質である。ホスホリパーゼA2(PLA2)は脂質メディエーター産生の初発酵素であり,膜のリン脂質から脂肪酸とリゾリン脂質を遊離する。脂質メディエーターは生体の 恒常性の維持に寄与する一方で,炎症・不妊・動脈硬化・癌などの疾病に関与する。本稿では,PLA2分子群によって制御される脂質ネットワークに焦点を当て,いくつかの代表的な疾病との関連について最新の知見を概説したい。...

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Published inオレオサイエンス Vol. 13; no. 10; pp. 485 - 491
Main Authors 三木, 寿美, 村上, 誠, 山本, 圭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本油化学会 2013
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ISSN1345-8949
2187-3461
DOI10.5650/oleoscience.13.485

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Summary:脂質は(1)エネルギー源として,(2)生体膜の主要構成成分として,(3)シグナル分子として生命に必須の生体物質である。脂質メディエーターとは,生体内で合成される脂質分子のうち,細胞外の 刺激によって一過的に生合成される生理活性物質である。ホスホリパーゼA2(PLA2)は脂質メディエーター産生の初発酵素であり,膜のリン脂質から脂肪酸とリゾリン脂質を遊離する。脂質メディエーターは生体の 恒常性の維持に寄与する一方で,炎症・不妊・動脈硬化・癌などの疾病に関与する。本稿では,PLA2分子群によって制御される脂質ネットワークに焦点を当て,いくつかの代表的な疾病との関連について最新の知見を概説したい。
ISSN:1345-8949
2187-3461
DOI:10.5650/oleoscience.13.485