パーキンソン病患者に対する起立板を用いた下腿三頭筋の伸張が身体パフォーマンスに及ぼす影響 シングルケースデザインによる検討

〔目的〕本研究は2例のパーキンソン病患者に対して,背屈角度15度に設定した足関節矯正起立板(起立板)を用いて,自重による下腿三頭筋の持続的伸張を実施し,即時的効果を検討した。〔対象〕パーキンソン病と診断を受けた2症例を対象とした。症例1は56歳,女性,Hoehn-Yahr重症度分類(H-Y分類)にて重症度III,要介護2であった。症例2は63歳,男性,H-Y分類にて重症度IV,要介護3であった。〔方法〕研究デザインはシングルケースデザインを用いた。デザインは従来の運動療法のみを実施するベースライン期(A期),次に従来の運動療法に加えて起立板にて下腿三頭筋の持続的伸張を実施する介入期(B期),従...

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Published in理学療法科学 Vol. 25; no. 4; pp. 561 - 565
Main Authors 石倉, 隆, 大槻, 桂右
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 理学療法科学学会 2010
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ISSN1341-1667
2434-2807
DOI10.1589/rika.25.561

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Summary:〔目的〕本研究は2例のパーキンソン病患者に対して,背屈角度15度に設定した足関節矯正起立板(起立板)を用いて,自重による下腿三頭筋の持続的伸張を実施し,即時的効果を検討した。〔対象〕パーキンソン病と診断を受けた2症例を対象とした。症例1は56歳,女性,Hoehn-Yahr重症度分類(H-Y分類)にて重症度III,要介護2であった。症例2は63歳,男性,H-Y分類にて重症度IV,要介護3であった。〔方法〕研究デザインはシングルケースデザインを用いた。デザインは従来の運動療法のみを実施するベースライン期(A期),次に従来の運動療法に加えて起立板にて下腿三頭筋の持続的伸張を実施する介入期(B期),従来の運動療法施のみを実施し,B期における起立板による下腿三頭筋の持続的伸張の効果を消去するフォロー期(A'期)を設けるABA'型とした。Functional reach test(FR),Timed up and go test(TUG),最大歩行速度の3つの評価項目を,各期の治療後に測定した。3つの評価項目の測定の順番はランダムに実施した。B期のFR,TUG,最大歩行速度の増減の有無を二項分布の確率を用いて分析した。〔結果〕症例1,2ともB期のFRと最大歩行速度はA期と比較して有意な増加が認められたが,TUGは症例1では,有意差は認められなかった。〔結語〕今回の研究において,起立板を用いて,下腿三頭筋を持続的に伸張する方法はパーキンソン病患者に対してFRや最大歩行速度を増加させる手段として即時的効果があることが示唆された。しかし,TUGに対しては,有効ではなかった。
ISSN:1341-1667
2434-2807
DOI:10.1589/rika.25.561