精神科における長期入院患者の苦悩
本研究の目的は,精神科における長期入院患者の苦悩の訴えの構造を明らかにし,その概念分析を行うことである。対象は,精神病院に5年以上入院中であり,本研究に同意の得られた男性26名,女性8名である。参加観察及び半構成的面接を行い質的記述的研究を行った。その結果,精神科における長期入院患者が経験する苦悩として,【孤独感への脅威】【精神疾患を抱えて生活する苦悩】【社会適応能力の低下から生じる生活の困難性】【実存性が脅かされることへの不安】【自己受容性の低下に伴う苦悩】が抽出された。苦悩とは生きる過程におけるその人の信念や価値態度,患者の認知的な要素と深く関連している。そのため,患者の苦悩を評価すること...
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| Published in | 日本看護研究学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 2_87 - 2_95 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本看護研究学会
01.06.2007
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 2188-3599 2189-6100 |
| DOI | 10.15065/jjsnr.20070201007 |
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| Summary: | 本研究の目的は,精神科における長期入院患者の苦悩の訴えの構造を明らかにし,その概念分析を行うことである。対象は,精神病院に5年以上入院中であり,本研究に同意の得られた男性26名,女性8名である。参加観察及び半構成的面接を行い質的記述的研究を行った。その結果,精神科における長期入院患者が経験する苦悩として,【孤独感への脅威】【精神疾患を抱えて生活する苦悩】【社会適応能力の低下から生じる生活の困難性】【実存性が脅かされることへの不安】【自己受容性の低下に伴う苦悩】が抽出された。苦悩とは生きる過程におけるその人の信念や価値態度,患者の認知的な要素と深く関連している。そのため,患者の苦悩を評価することは,患者のQOL向上の一端を担う重要な精神的ケアであることが示唆された。 |
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| ISSN: | 2188-3599 2189-6100 |
| DOI: | 10.15065/jjsnr.20070201007 |