治験説明に対する被験者の理解度
本研究の目的は，治験説明に対する被験者の理解度を調べ，治験コーディネーター (CRC) の役割を明らかにすることである｡ 治験の被験者105名を対象に質問紙調査を実施し，回答した88名 (回収率：83.8％) についてχ２検定とMann-Whitney U-検定法を用いて分析した｡ 被験者は治験説明を概ね理解していたが，｢治験薬の副作用｣，｢治験薬の特徴と効果｣，｢健康被害の補償｣ の理解度が他に比べて低く，これらは被験者の参加満足度と関連があり (p＜.05)，その点の説明を強化する必要があると考えられた｡ ｢プライバシーの保護｣ の理解度は，治験イメージが悪く (p＜.05)，予備知識が無...
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| Published in | 日本看護研究学会雑誌 Vol. 26; no. 4; pp. 4_99 - 4_108 |
|---|---|
| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本看護研究学会
01.09.2003
|
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 2188-3599 2189-6100 |
| DOI | 10.15065/jjsnr.20030529008 |
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| Abstract | 本研究の目的は，治験説明に対する被験者の理解度を調べ，治験コーディネーター (CRC) の役割を明らかにすることである｡ 治験の被験者105名を対象に質問紙調査を実施し，回答した88名 (回収率：83.8％) についてχ２検定とMann-Whitney U-検定法を用いて分析した｡ 被験者は治験説明を概ね理解していたが，｢治験薬の副作用｣，｢治験薬の特徴と効果｣，｢健康被害の補償｣ の理解度が他に比べて低く，これらは被験者の参加満足度と関連があり (p＜.05)，その点の説明を強化する必要があると考えられた｡ ｢プライバシーの保護｣ の理解度は，治験イメージが悪く (p＜.05)，予備知識が無い (p＜.05) 場合，低かった点に注意して配慮する必要がある｡ ｢治験のスケジュール｣ の理解度と総合理解度は，治験参加満足度とそれぞれ関連したことから (p＜.05)，被験者が具体的に見通しをもてるように，CRCは総合的かつ十分に説明する必要がある｡ |
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| AbstractList | 本研究の目的は，治験説明に対する被験者の理解度を調べ，治験コーディネーター (CRC) の役割を明らかにすることである｡ 治験の被験者105名を対象に質問紙調査を実施し，回答した88名 (回収率：83.8％) についてχ２検定とMann-Whitney U-検定法を用いて分析した｡ 被験者は治験説明を概ね理解していたが，｢治験薬の副作用｣，｢治験薬の特徴と効果｣，｢健康被害の補償｣ の理解度が他に比べて低く，これらは被験者の参加満足度と関連があり (p＜.05)，その点の説明を強化する必要があると考えられた｡ ｢プライバシーの保護｣ の理解度は，治験イメージが悪く (p＜.05)，予備知識が無い (p＜.05) 場合，低かった点に注意して配慮する必要がある｡ ｢治験のスケジュール｣ の理解度と総合理解度は，治験参加満足度とそれぞれ関連したことから (p＜.05)，被験者が具体的に見通しをもてるように，CRCは総合的かつ十分に説明する必要がある｡ |
| Author | 安藤, 幸子 安藤, 詳子 加藤, 経子 |
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| References | 5) 古川裕之, 宮本謙一, 他：大学病院における治験実施体制の整備状況に関する調査, 臨床薬理, 32(5), 259－268, 2001 18) 宮越一穂：臨床研究への患者の対応, 医学哲学医学倫理, 15号, 48－63, 1997 13) 厚生省医薬安全局監視指導課：治験に係る被験者募集の情報提供の取扱いについて, 医薬監第65号, 平成11年６月25日 17) 瀬尾信雄：これからの臨床試験を考える－GCPのインフォームド・コンセントの中の「危険性」の説明の程度について, 薬理と治療, 25(5), 1249－1261, 1997 10) 加藤経子, 安藤幸子, 安藤詳子：治験コーディネーターに期待される役割－看護婦を対象としたアンケート調査より, 第５回日本看護研究学会東海地方会学術集会抄録, 23, 2001 15) 山崎久美子：心理学的側面からみた治験, 薬理と治療, 26(2), 126－130, 1998 20) 中西睦子：インフォームド・コンセントにおける理解と納得－患者の決断の“ゆれ”の調査を通して－, 日本保健医療行動科学会編, 医療倫理と行動科学, 57－66, メヂカルフレンド社, 1999 8) 聖マリアンナ医科大学病院治験管理室編：聖マリアンナ医科大学病院における治験の進め方－厚生省GCP適正運用推進モデル事業最終報告書を中心に－, ミクス, 東京, 1998 12) 中野重行, 他, 厚生科学研究適正な治験の実施方法に関する研究班：日本の治験におけるインフォームド・コンセントの実態－多施設二重盲検比較試験に被験者として参加した患者と担当医師のペアを対象にしたアンケート調査の結果－, 薬理と治療, 25(9), 2223－2247, 1997 3) 黒川清：新薬の薬効評価はどうあるべきか ICH-GCPと日本の臨床治験の現況－問題点と提言, 臨床薬理, 29(3), 567－570, 1998 16) 三輪亮寿：治験における被験者の人権－特にインフォームド・コンセント (IC) の観点から－, 月刊薬事, 39(10), 2013－2022, 1997 7) 平成９年度厚生科学研究：新GCPの普及定看に向けて, ミクス, 東京, 1998 2) 徳永梯子：治験の基礎知識－治験のしくみ, Nursing Today, 14(8), 25－29,1999 4) 星野一正：インフォームド・コンセント－日本に馴染む六つの提言, 丸善ライブラリー東京, 1997 6) 2000年度看護職の治験コーディネーターに関する実態調査報告書, １－６, 日本看護協会出版会, 東京, 2001 9) 中川洋子：治験コーディネーターのかかわりの実際, がん看護, 4(3), 212－219, 1999 19) 小菅和仁, 鈴木真紀, 他：外来患者における治験に関する意識調査, 臨床薬理, 32(1), 177－178, 2001 11) 古川裕之, 北川明, 他：被験者の治験に対する意識に関する他施設共同調査の試み, 臨床薬理, 32(1), 183－184, 2001 1) 野間俊哉：医薬品の臨床試験における説明と同意, 中島一憲編：現代のエスプリ339 インフォームド・コンセント, 140－149, 至文堂, 東京, 1995 14) 厚生労働省医政局長通知：医療法などの一部を改正する法律などの施行について, 医政発第125号, 平成13年２月22日 |
| References_xml | – reference: 4) 星野一正：インフォームド・コンセント－日本に馴染む六つの提言, 丸善ライブラリー東京, 1997 – reference: 14) 厚生労働省医政局長通知：医療法などの一部を改正する法律などの施行について, 医政発第125号, 平成13年２月22日 – reference: 8) 聖マリアンナ医科大学病院治験管理室編：聖マリアンナ医科大学病院における治験の進め方－厚生省GCP適正運用推進モデル事業最終報告書を中心に－, ミクス, 東京, 1998 – reference: 5) 古川裕之, 宮本謙一, 他：大学病院における治験実施体制の整備状況に関する調査, 臨床薬理, 32(5), 259－268, 2001 – reference: 11) 古川裕之, 北川明, 他：被験者の治験に対する意識に関する他施設共同調査の試み, 臨床薬理, 32(1), 183－184, 2001 – reference: 15) 山崎久美子：心理学的側面からみた治験, 薬理と治療, 26(2), 126－130, 1998 – reference: 19) 小菅和仁, 鈴木真紀, 他：外来患者における治験に関する意識調査, 臨床薬理, 32(1), 177－178, 2001 – reference: 6) 2000年度看護職の治験コーディネーターに関する実態調査報告書, １－６, 日本看護協会出版会, 東京, 2001 – reference: 10) 加藤経子, 安藤幸子, 安藤詳子：治験コーディネーターに期待される役割－看護婦を対象としたアンケート調査より, 第５回日本看護研究学会東海地方会学術集会抄録, 23, 2001 – reference: 1) 野間俊哉：医薬品の臨床試験における説明と同意, 中島一憲編：現代のエスプリ339 インフォームド・コンセント, 140－149, 至文堂, 東京, 1995 – reference: 13) 厚生省医薬安全局監視指導課：治験に係る被験者募集の情報提供の取扱いについて, 医薬監第65号, 平成11年６月25日 – reference: 16) 三輪亮寿：治験における被験者の人権－特にインフォームド・コンセント (IC) の観点から－, 月刊薬事, 39(10), 2013－2022, 1997 – reference: 12) 中野重行, 他, 厚生科学研究適正な治験の実施方法に関する研究班：日本の治験におけるインフォームド・コンセントの実態－多施設二重盲検比較試験に被験者として参加した患者と担当医師のペアを対象にしたアンケート調査の結果－, 薬理と治療, 25(9), 2223－2247, 1997 – reference: 2) 徳永梯子：治験の基礎知識－治験のしくみ, Nursing Today, 14(8), 25－29,1999 – reference: 7) 平成９年度厚生科学研究：新GCPの普及定看に向けて, ミクス, 東京, 1998 – reference: 9) 中川洋子：治験コーディネーターのかかわりの実際, がん看護, 4(3), 212－219, 1999 – reference: 17) 瀬尾信雄：これからの臨床試験を考える－GCPのインフォームド・コンセントの中の「危険性」の説明の程度について, 薬理と治療, 25(5), 1249－1261, 1997 – reference: 18) 宮越一穂：臨床研究への患者の対応, 医学哲学医学倫理, 15号, 48－63, 1997 – reference: 3) 黒川清：新薬の薬効評価はどうあるべきか ICH-GCPと日本の臨床治験の現況－問題点と提言, 臨床薬理, 29(3), 567－570, 1998 – reference: 20) 中西睦子：インフォームド・コンセントにおける理解と納得－患者の決断の“ゆれ”の調査を通して－, 日本保健医療行動科学会編, 医療倫理と行動科学, 57－66, メヂカルフレンド社, 1999 |
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