転院という環境の変化がBarthel Indexにおよぼす影響 脳卒中と大腿骨頸部骨折

脳卒中や骨折の病態が落ち着いたとしても障害を伴った高齢の患者は,転院という環境の変化によって日常生活活動能力が低下する可能性がある。代表的なADL評価であり,信頼性が実証されているBarthel Indexを用いて,環境の変化の影響を評価した。対象は脳卒中と大腿骨頸部骨折を伴う患者で,急性期病院の転院時に療法士が評価した得点と,転院後1週間以内に連携病院にて看護師が評価した得点を検討した。脳卒中の総合得点は58%が低く評価され,差の平均は-5.9±16.0点であった。大腿骨頸部骨折の総合得点は68%が低く評価され,差の平均は-7.3±14.1点であった。脳卒中の順位相関係数は0.91 (p&l...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 59; no. 2; pp. 67 - 71
Main Authors 山本, 泰三, 肥田野, 義道, 新谷, 周三, 日野, 太郎, 増山, 正義, 渡辺, 裕子, 赤沼, 順
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 30.07.2010
日本農村医学会
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.59.67

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Summary:脳卒中や骨折の病態が落ち着いたとしても障害を伴った高齢の患者は,転院という環境の変化によって日常生活活動能力が低下する可能性がある。代表的なADL評価であり,信頼性が実証されているBarthel Indexを用いて,環境の変化の影響を評価した。対象は脳卒中と大腿骨頸部骨折を伴う患者で,急性期病院の転院時に療法士が評価した得点と,転院後1週間以内に連携病院にて看護師が評価した得点を検討した。脳卒中の総合得点は58%が低く評価され,差の平均は-5.9±16.0点であった。大腿骨頸部骨折の総合得点は68%が低く評価され,差の平均は-7.3±14.1点であった。脳卒中の順位相関係数は0.91 (p<0.001) と非常に強い相関であり,大腿骨頸部骨折の順位相関係数は0.69 (p<0.001) とかなり強い相関であった。脳卒中と大腿骨頸部骨折のBarthelIndexの総合得点は転院により差を生じなかった。しかし,脳卒中の平均年齢は68.5歳で大腿骨頸部骨折の平均年齢は81.4歳と差があり,大腿骨頸部骨折のほうが高齢なため,脳卒中より日常生活活動能力が低く評価される傾向があった。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.59.67