先天性心疾患術後37 年目に発症した上行大動脈送血部仮性動脈瘤の1 手術例

要旨:症例は39 歳男性.2 歳時に心室中隔欠損症に対して欠損孔閉鎖術が施行された.今回,発熱と胸部不快を主訴に前医を受診,胸部レントゲンにて前縦隔に異常陰影を認め,胸部CT にて上行大動脈仮性動脈瘤と診断,加療目的に当科紹介受診となった.同日緊急入院,入院2 日後に準緊急にて手術を施行した.手術は胸骨再正中切開にてアプローチ,体外循環下に上行大動脈にpartial clamp をかけて仮性動脈瘤を切除,欠損孔はHemashield patch を用いて閉鎖した.仮性動脈瘤基部には初回手術時の大動脈送血部に掛かっていたものと思われる絹糸とフェルトを認めた.総体外循環時間は38 分,手術時間は4...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 25; pp. 246 - 249
Main Authors 上田, 哲之, 村田, 明, 大高, 慎吾, 山下, 重幸, 小尾, 勇人, 外川, 正海
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2016
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.16-00037

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Summary:要旨:症例は39 歳男性.2 歳時に心室中隔欠損症に対して欠損孔閉鎖術が施行された.今回,発熱と胸部不快を主訴に前医を受診,胸部レントゲンにて前縦隔に異常陰影を認め,胸部CT にて上行大動脈仮性動脈瘤と診断,加療目的に当科紹介受診となった.同日緊急入院,入院2 日後に準緊急にて手術を施行した.手術は胸骨再正中切開にてアプローチ,体外循環下に上行大動脈にpartial clamp をかけて仮性動脈瘤を切除,欠損孔はHemashield patch を用いて閉鎖した.仮性動脈瘤基部には初回手術時の大動脈送血部に掛かっていたものと思われる絹糸とフェルトを認めた.総体外循環時間は38 分,手術時間は4 時間25 分であった.術後経過は良好にて術後13 日目に独歩退院となった.上行大動脈仮性動脈瘤形成は開心術後合併症として報告が散見されるが,本症例の如く,開心術後の超遠隔期に発症した症例は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.16-00037