高齢者の非特異性間質性肺炎とユビキチン陽性肺胞上皮細胞についての免疫組織化学的検討

目的:高齢者の非特異性間質性肺炎(NSIP)におけるユビキチン(Ub)陽性細胞と肺胞上皮細胞傷害の程度や患者の治療抵抗性との関連などを知ることを目的とした.方法:対象は外科的肺生検によりNSIPパターン(NSIP/P)と病理診断された高齢者(平均年齢68歳,男性5例,女性8例)13例の肺組織である.方法として組織切片から好酸性細胞質内封入体(封入体)の計測,ビラン,気腔内肉芽組織の各亜型(ポリープ型,壁在型,閉塞型)をスコア化した.さらに免疫染色によるUb陽性細胞の有無と陽性細胞数の計測,組織学的に上記以外の他のパラメータ,NSIP/Pの亜型ならびに患者の治療抵抗性や予後などとの関連を検討した...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 46; no. 2; pp. 146 - 153
Main Authors 上野, 高浩, 上原, 健司, 水谷, 智彦, 山田, 勉, 河端, 美則, 松本, 太郎, 三俣, 昌子, 大荷, 澄江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2009
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.46.146

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Summary:目的:高齢者の非特異性間質性肺炎(NSIP)におけるユビキチン(Ub)陽性細胞と肺胞上皮細胞傷害の程度や患者の治療抵抗性との関連などを知ることを目的とした.方法:対象は外科的肺生検によりNSIPパターン(NSIP/P)と病理診断された高齢者(平均年齢68歳,男性5例,女性8例)13例の肺組織である.方法として組織切片から好酸性細胞質内封入体(封入体)の計測,ビラン,気腔内肉芽組織の各亜型(ポリープ型,壁在型,閉塞型)をスコア化した.さらに免疫染色によるUb陽性細胞の有無と陽性細胞数の計測,組織学的に上記以外の他のパラメータ,NSIP/Pの亜型ならびに患者の治療抵抗性や予後などとの関連を検討した.結果:1)NSIP群13例中6例(検索症例の46%)にUb陽性細胞が出現し(Ub陽性群),全ての封入体はUb陽性を示した.光顕的に認めた封入体数よりもUb陽性封入体数は多く,Ub免疫染色は細胞傷害像を容易に認識できる方法であった.2)Ub陽性群の気腔内肉芽組織スコアはUb陰性群より有意に増加したが(p<0.05),肉芽組織各亜型についてみるとUb陽性群とUb陰性群間に差異はなかった.3)fibrosing NSIP亜群におけるポリープ型,壁在型,閉塞型の肉芽組織各亜型はcellular NSIP亜群の肉芽組織各亜型よりも有意に増加した.4)経過観察後(平均3.6年間)の治療抵抗性とUb陽性細胞数出現や,治療抵抗性と肉芽組織各亜型との関連はなかった.結論:高齢者NSIP群に封入体は存在し,Ub陽性を示す肺胞上皮の存在を明らかにした.NSIP群治療抵抗性とUb陽性細胞の関連は明確とならなかったが,高齢者NSIP群の肺胞上皮細胞傷害とUbとの関連も示唆された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.46.146