口腔ケアに対して拒否のある要介護高齢者への脱感作の手法による効果の検討
(目的) 要介護高齢者では, 心理的、身体的な種々の原因による口腔や身体ケアへの介護拒否のため、十分な介護を受けられない状況が少なからずみられる。そこで我々は, 拒否のある患者における口腔ケアの受容状況を明らかにし, その指針を検索することを目的として本研究を行った。 (対象と方法) 対象は, 某長期療養型病床群に入院中の脳血管障害後遺症を有する要介護高齢者8名 (男性2名, 女性6名, 平均年齢78.4±6.3歳) である。脳血管障害発症からの平均期間は36.8ヵ月, 栄養摂取方法は全て発症後1ヵ月以内に経管栄養が開始されていた。また, 対象者の口腔内は全て有歯顎であった。 対象者に対し,...
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Published in | Ronen Shika Igaku Vol. 22; no. 2; pp. 101 - 105 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年歯科医学会
2007
Japanese Society of Gerodontology |
Subjects | |
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ISSN | 0914-3866 1884-7323 |
DOI | 10.11259/jsg1987.22.101 |
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Summary: | (目的) 要介護高齢者では, 心理的、身体的な種々の原因による口腔や身体ケアへの介護拒否のため、十分な介護を受けられない状況が少なからずみられる。そこで我々は, 拒否のある患者における口腔ケアの受容状況を明らかにし, その指針を検索することを目的として本研究を行った。 (対象と方法) 対象は, 某長期療養型病床群に入院中の脳血管障害後遺症を有する要介護高齢者8名 (男性2名, 女性6名, 平均年齢78.4±6.3歳) である。脳血管障害発症からの平均期間は36.8ヵ月, 栄養摂取方法は全て発症後1ヵ月以内に経管栄養が開始されていた。また, 対象者の口腔内は全て有歯顎であった。 対象者に対し, 歯科医師による口腔内診査を行い, さらに歯科衛生士により「顔面および身体接触への拒否」と「口腔内接触への拒否」の有無と部位を評価した。その後, 同一の歯科衛生士による週1回の脱感作の手法を用いた口腔ケアを, 2ヵ月半継続して行った。 (結果) 1) 介入前では, 8名中7名において「顔面および身体」よりも「口腔内」に対する拒否の方が強く認められた。 2) 介入開始からおよそ4~6回程度で拒否が軽減した者が多くみられた。 3) 介入当初の口腔ケア時には開口器の使用により開口状態を保持していた者が8名中5名であったが, 最終的に全ての者が強制的な器具の使用に開口可能となった。 (結論) 口腔ケアの困難さをうかがわせる拒否のある要介護高齢者においても, 身体的接触による脱感作の手法を取り入れた口腔ケアにより, 口腔の質を高める援助を提供しうる可能性が示された。 |
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ISSN: | 0914-3866 1884-7323 |
DOI: | 10.11259/jsg1987.22.101 |