座位下肢荷重力を用いた障害高齢者の移乗動作自立度判定
目的:障害高齢者を対象に座位での下肢荷重力測定を実施し,得られた測定値が移乗動作の自立判定に応用可能か検討すること.方法:対象は,障害高齢者83例(男性34例,女性49例,年齢79.9±9.1歳:mean±SD)とした.障害高齢者の移乗動作自立度は,Functional Independence Measure(以下FIM)の車椅子―ベッド間の移乗動作項目得点で3群(6~7点:自立群,5点:監視群,2~4点:介助群)に分類した.座位での下肢荷重力測定は,左右下肢各1回ずつ実施し,得られた左右測定値(kg)の和を体重比百分率にて下肢荷重力体重比(%)に換算した.統計学的処理は,移乗動作自立度を要...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 47; no. 2; pp. 153 - 157 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
2010
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.47.153 |
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Summary: | 目的:障害高齢者を対象に座位での下肢荷重力測定を実施し,得られた測定値が移乗動作の自立判定に応用可能か検討すること.方法:対象は,障害高齢者83例(男性34例,女性49例,年齢79.9±9.1歳:mean±SD)とした.障害高齢者の移乗動作自立度は,Functional Independence Measure(以下FIM)の車椅子―ベッド間の移乗動作項目得点で3群(6~7点:自立群,5点:監視群,2~4点:介助群)に分類した.座位での下肢荷重力測定は,左右下肢各1回ずつ実施し,得られた左右測定値(kg)の和を体重比百分率にて下肢荷重力体重比(%)に換算した.統計学的処理は,移乗動作自立度を要因にした一元配置分散分析と多重比較検定(Scheffe)で下肢荷重力体重比(%)について比較した.また,Receiver Operating Characteristic(以下ROC)曲線で下肢荷重力体重比(%)と移乗動作の自立,非自立の関係について検討した.ROC曲線の検討では,移乗動作の自立,非自立を判断するカットオフ値を決定し,陽性適中度,陰性適中度,正診率を算出した.結果:一元配置分散分析と多重比較検定の結果から下肢荷重力体重比(%)は,移乗動作自立度要因に有意な主効果が認められ,全ての群間に有意差が認められた.ROC曲線の検討では,曲線下面積(area under the curve;以下AUC)が0.84を示し,下肢荷重力体重比(%)のカットオフ値は52.6%,感度77%,特異度81%であった.カットオフ値における陽性適中度は71%であり,陰性適中度は86%であった.また,カットオフ値の正診率は,80%であった.結論:座位での下肢荷重力は,障害高齢者の移乗動作自立度を鋭敏に反映しており,高い判別精度で障害高齢者の移乗動作自立,非自立を判断できる可能性があると考えられる. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.47.153 |