感染した腎動脈上固定腹部大動脈ステントグラフト抜去に工夫を要した1 例

要旨:我が国での腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術は,年々増加している.術後のステントグラフト感染は致命的な合併症であり,感染の根治にはステントグラフトの摘出が考慮されるが,腎動脈上に固定されたステントグラフトの抜去は技術的に難しい.今回,われわれは,68 歳男性で,腎動脈上固定ステントグラフトが感染した症例を経験した.手術時,上腸間膜動脈送血,腎保護液を使用することで,術後の腸管合併症や腎機能障害を回避できた.また,腎動脈上のストラットを1 本ずつ切断しバーブを大動脈壁から外すことで,大動脈壁および腎動脈を損傷することなくステントグラフトを完全に摘出することができた.さらに,リファン...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 25; pp. 260 - 264
Main Authors 馬場, 啓徳, 宮本, 和幸, 森重, 翔二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2016
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.16-00036

Cover

More Information
Summary:要旨:我が国での腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術は,年々増加している.術後のステントグラフト感染は致命的な合併症であり,感染の根治にはステントグラフトの摘出が考慮されるが,腎動脈上に固定されたステントグラフトの抜去は技術的に難しい.今回,われわれは,68 歳男性で,腎動脈上固定ステントグラフトが感染した症例を経験した.手術時,上腸間膜動脈送血,腎保護液を使用することで,術後の腸管合併症や腎機能障害を回避できた.また,腎動脈上のストラットを1 本ずつ切断しバーブを大動脈壁から外すことで,大動脈壁および腎動脈を損傷することなくステントグラフトを完全に摘出することができた.さらに,リファンピシン浸漬人工血管を使用してin-situ に再建,大網充填を行うことで感染の再燃を予防し,良好な結果を得た.今回,用いた手技は,感染した腎動脈上固定ステントグラフトを抜去する際に有効であると思われた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.16-00036