前頭洞炎を生じた副鼻腔線維性骨異形成症の1例

線維性骨異形成症 (Fibrous dysplasia: FD) は線維性結合組織の増殖と未熟な骨梁の新生を特徴とする非腫瘍性の進行性骨疾患である。 頭蓋顎顔面領域は好発部位の一つであるが, 篩骨病変は比較的稀とされている。 頭蓋顎顔面領域の線維性骨異形成症の治療法は, 病変の部位, 手術に伴う侵襲性, および治療の目的などを考慮して決定する。 今回われわれは, 二次性に前頭洞炎を生じた副鼻腔線維性骨異形成症に対して部分切除を行った1例を経験したので報告する。 本症例において FD 病変は右篩骨洞に位置しており, FD 病変が前頭窩を塞いだことによる右前頭洞炎を生じていた。 保存的療法で改善し...

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Published inJIBI INKOKA TEMBO Vol. 60; no. 5; pp. 238 - 242
Main Authors 山口, 航, 飯村, 慈朗, 弦本, 惟郎, 露無, 松里, 中島, 庸也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.10.2017
Society of Oto-rhino-laryngology Tokyo
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.60.5_238

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Summary:線維性骨異形成症 (Fibrous dysplasia: FD) は線維性結合組織の増殖と未熟な骨梁の新生を特徴とする非腫瘍性の進行性骨疾患である。 頭蓋顎顔面領域は好発部位の一つであるが, 篩骨病変は比較的稀とされている。 頭蓋顎顔面領域の線維性骨異形成症の治療法は, 病変の部位, 手術に伴う侵襲性, および治療の目的などを考慮して決定する。 今回われわれは, 二次性に前頭洞炎を生じた副鼻腔線維性骨異形成症に対して部分切除を行った1例を経験したので報告する。 本症例において FD 病変は右篩骨洞に位置しており, FD 病変が前頭窩を塞いだことによる右前頭洞炎を生じていた。 保存的療法で改善しないため手術を施行した。 FD 病変は頭蓋底骨と癒合しており前篩骨動脈の近傍に位置していた。 そのため頭蓋底損傷や前篩骨動脈損傷の危険を考慮し, 手術は FD 病変の部分切除と Draf IIb により前頭洞を開放した。 術後22ヵ月が経過しているが再発を認めていない。 FD が原因で二次性副鼻腔炎を生じうることがある。 片側性副鼻腔炎を認める症例に対して, 骨増殖性疾患も念頭において治療を行う必要がある。 FD 病変の部分切除は, 副鼻腔頭蓋底部に発生した場合, 有効な治療法と考えられるが, FD 病変の再増大や悪性化の有無の確認のため長期の経過観察が必要である。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.60.5_238