二次予防事業対象者の認知機能とビタミンD

目的:介護が必要となった要因の第2位が認知症であり,年々増加している.高齢者の多くは低栄養・閉じこもりなどにより血清ビタミンD不足・欠乏がみられる.ビタミンD低下は認知機能低下やアルツハイマー型認知症の危険因子であると報告されている.わが国における要介護予備群である二次予防事業対象者のビタミンD濃度と認知機能状況を把握した研究は見当たらない.認知機能とビタミンDとの関連を検討することを目的とした.方法:平成18年6月から平成23年1月までの介護予防教室に参加した茨城県Y町とS市(いずれも北緯36度)に在住の65歳以上の高齢者316名(平均年齢77.0±5.7歳)を対象とした横断研究である.質問...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 50; no. 4; pp. 515 - 521
Main Authors 堀田, 和司, 藪下, 典子, 大藏, 倫博, 奥野, 純子, 田中, 喜代次, Liying, Pei, 柳, 久子, 深作, 貴子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2013
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.50.515

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Summary:目的:介護が必要となった要因の第2位が認知症であり,年々増加している.高齢者の多くは低栄養・閉じこもりなどにより血清ビタミンD不足・欠乏がみられる.ビタミンD低下は認知機能低下やアルツハイマー型認知症の危険因子であると報告されている.わが国における要介護予備群である二次予防事業対象者のビタミンD濃度と認知機能状況を把握した研究は見当たらない.認知機能とビタミンDとの関連を検討することを目的とした.方法:平成18年6月から平成23年1月までの介護予防教室に参加した茨城県Y町とS市(いずれも北緯36度)に在住の65歳以上の高齢者316名(平均年齢77.0±5.7歳)を対象とした横断研究である.質問紙による面接調査,血液検査(intact parathyroid hormone,25-hydroxyvitamin D,1,25-dihydroxyvitamin Dなど)を実施した.調査項目は,年齢,性,自己申告による疾患の有無,外出頻度,転倒スコア,認知機能,高次生活機能(老研式活動能力指標)など,認知機能はMMSEを用い,MMSE≤23に関連する要因を多重ロジスティック回帰分析を用いて検討した.結果:男性67名,女性249名,平均年齢は77.0±5.7歳,MMSE平均得点25.3±3.7,MMSE≤23者は全対象者の30.6%,血清平均25(OH)D濃度は57.1±16.0 nmol/Lであった.ビタミンD欠乏者1.7%,不足者30.0%,不十分者54.6%,十分者14.0%であった.MMSE≤23に関連する要因は,男性の場合,血清iPTH,25(OH)D濃度と関連があったが,女性は関連が見られなかった.結論:介護予防教室参加者の約3割が認知機能低下者で,25(OH)D欠乏者,不足者は約90%いた.男性二次予防事業参加高齢者のみ認知機能と血清iPTH,25(OH)D濃度と関連がみられた.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.50.515