8020達成者の優位性と問題点に関する調査研究
8020運動は, 明確な目標を歯科医療に与え, 高い評価を得つつあるが, 8020達成者の問題点や適切な歯科的対応のなされた8000者 (総義歯患者) の状況は不明である。本研究は, 8020達成者は8000者より, どの程度, 機能的に優れており, QOLも高いのかを確認したうえで, 8020達成者の問題点を明らかにすることを目的とした。 8020群 (36名) と問題のない全部床義歯を装着した8000群 (35名) に対して, 反復唾液嚥下テスト, 口腔乾燥臨床診断, 咬合力, 咀嚼スコア, 身体社会的条件, 口の問題, QOL評価を診査・調査した。 その結果, 8000群は咬合力, 咀嚼...
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Published in | Ronen Shika Igaku Vol. 22; no. 1; pp. 12 - 24 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年歯科医学会
2007
Japanese Society of Gerodontology |
Subjects | |
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ISSN | 0914-3866 1884-7323 |
DOI | 10.11259/jsg1987.22.12 |
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Summary: | 8020運動は, 明確な目標を歯科医療に与え, 高い評価を得つつあるが, 8020達成者の問題点や適切な歯科的対応のなされた8000者 (総義歯患者) の状況は不明である。本研究は, 8020達成者は8000者より, どの程度, 機能的に優れており, QOLも高いのかを確認したうえで, 8020達成者の問題点を明らかにすることを目的とした。 8020群 (36名) と問題のない全部床義歯を装着した8000群 (35名) に対して, 反復唾液嚥下テスト, 口腔乾燥臨床診断, 咬合力, 咀嚼スコア, 身体社会的条件, 口の問題, QOL評価を診査・調査した。 その結果, 8000群は咬合力, 咀嚼機能がやや低いものの補綴治療の結果, 従来言われているほどの嚥下機能, 身体社会的条件の低下やQOLの低下は認められなかった。ただし, 義歯に関する問題を抱えているものが若干存在し, これらはQOLにも多少の問題があり, 改善の必要性が示唆された。一方, 8020群にも「歯に物がはさまる」問題や, 消化不良と顎関節症の問題があり, QOLの低下につながっている可能性が示唆された。ただ単に歯を多く残すだけではなく, 良好な咬合状態と清掃しやすい状況の確保と, 適切な食品摂取指導の必要性が示唆された。 |
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ISSN: | 0914-3866 1884-7323 |
DOI: | 10.11259/jsg1987.22.12 |