無愁訴の智歯周囲炎が原因と考えられた反復性細菌性髄膜炎例

口腔細菌は齲歯や歯周病だけではなく,誤嚥性肺炎や感染性心内膜炎など他部位で感染症を引き起こすことがある。今回,智歯周囲炎が原因と考えられた反復性髄膜炎例を経験したので報告する。症例は16歳男児。繰り返す発熱と意識障害で近医総合病院に緊急入院となり,ペニシリン感受性肺炎球菌による細菌性髄膜炎と診断された。CT/MRI で翼口蓋窩から側頭下窩を中心に境界不明瞭な病変,周囲の下顎骨関節突起の菲薄化や蝶形骨洞大翼の骨破壊などを認め,腫瘍性疾患を疑い当院に紹介された。ナビゲーションを用いて翼口蓋窩組織生検をしたが悪性所見は認めなかった。その後経過観察中に G 群レンサ球菌による 3 回目の細菌性髄膜炎を...

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Published inPediatric Otorhinolaryngology Japan Vol. 36; no. 1; pp. 40 - 44
Main Authors 今井, 篤志, 石田, 裕二, 百合草, 健圭志, 鬼塚, 哲郎, 飯田, 善幸, 須田, 稔士, 上條, 朋之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児耳鼻咽喉科学会 2015
Japan Society for Pediatric Otorhinolaryngology
Subjects
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ISSN0919-5858
2186-5957
DOI10.11374/shonijibi.36.40

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Summary:口腔細菌は齲歯や歯周病だけではなく,誤嚥性肺炎や感染性心内膜炎など他部位で感染症を引き起こすことがある。今回,智歯周囲炎が原因と考えられた反復性髄膜炎例を経験したので報告する。症例は16歳男児。繰り返す発熱と意識障害で近医総合病院に緊急入院となり,ペニシリン感受性肺炎球菌による細菌性髄膜炎と診断された。CT/MRI で翼口蓋窩から側頭下窩を中心に境界不明瞭な病変,周囲の下顎骨関節突起の菲薄化や蝶形骨洞大翼の骨破壊などを認め,腫瘍性疾患を疑い当院に紹介された。ナビゲーションを用いて翼口蓋窩組織生検をしたが悪性所見は認めなかった。その後経過観察中に G 群レンサ球菌による 3 回目の細菌性髄膜炎をきたした。多職種カンファレンスで反復性髄膜炎と左上埋伏智歯の関連が指摘され,無愁訴の智歯周囲炎を認めたので抜歯を施行した。解熱と CRP の陰性化を認め,髄膜炎の再燃は 4 年以上認めていない。
ISSN:0919-5858
2186-5957
DOI:10.11374/shonijibi.36.40