漢方薬による薬物性肝障害の症例検討

2000年から2009年の9年間に当研究所にて,漢方薬による薬物性肝障害と診断した21症例について検討した。平均年齢55.2 ± 13.4歳で,男性5例,女性16例であった。服用3カ月以内には17例(81.0%)が発症していた。発症時,無症状が11例(52.4%)であり,肝細胞障害型と混合型が共に9例(42.9%)であった。起因漢方薬としては19例と9割以上が黄芩を含む処方であった。DLST施行例は5例のみであり,方剤陽性は1例のみであった。治療としては,原因薬の中止のみで肝障害の軽減および肝機能の正常化を認めたのが18例(85.7%)で他2例は同処方去黄芩にて正常化を認めた。今後,特に黄芩を...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 61; no. 6; pp. 828 - 833
Main Authors 赤星, 透, 早崎, 知幸, 花輪, 壽彦, 小田口, 浩, 村主, 明彦, 及川, 哲郎, 鈴木, 邦彦, 五野, 由佳理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2010
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.61.828

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Summary:2000年から2009年の9年間に当研究所にて,漢方薬による薬物性肝障害と診断した21症例について検討した。平均年齢55.2 ± 13.4歳で,男性5例,女性16例であった。服用3カ月以内には17例(81.0%)が発症していた。発症時,無症状が11例(52.4%)であり,肝細胞障害型と混合型が共に9例(42.9%)であった。起因漢方薬としては19例と9割以上が黄芩を含む処方であった。DLST施行例は5例のみであり,方剤陽性は1例のみであった。治療としては,原因薬の中止のみで肝障害の軽減および肝機能の正常化を認めたのが18例(85.7%)で他2例は同処方去黄芩にて正常化を認めた。今後,特に黄芩を含む処方の場合に無症状でも,薬物性肝障害の早期発見のために3カ月以内の採血が必要と考える。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.61.828