呼吸困難を主としたミトコンドリア脳筋症に対して有酸素運動が有効であった一例

ミトコンドリア病はその疾患特有の症状の多様さから,確立された理学療法は未だ存在しない。エネルギー供給の障害で過度な運動によって悪化することも少なくない。今回,呼吸障害を呈したミトコンドリア脳筋症症例に対してリスク管理を行いながら有酸素運動を実施した。症例は60代女性,入院前は呼吸困難により50 m以上の連続歩行が困難でADL制限を認めていた。呼吸補助筋の過緊張と胸郭の可動性低下に対して,リラクゼーションやモビライゼーションなどのコンディショニングから理学療法を開始し,漸増的に有酸素運動を行った。6分間歩行試験を約1週間おきに評価し,6分間歩行試験の悪化や呼吸困難の増悪の有無を確認し運動負荷を決...

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Published inPhysical Therapy Kagoshima Vol. 3; pp. 16 - 22
Main Authors 谷吉, 航, 河原橋, 弥姫, 永田, 明日翔, 嘉納, 真優, 吉村, 道由, 別府, 詩音, 豊留, 研二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 鹿児島県理学療法士協会 2024
Kagoshima Physical Association
Subjects
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ISSN2436-8458
DOI10.57357/ptkagoshima.3.0_16

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Summary:ミトコンドリア病はその疾患特有の症状の多様さから,確立された理学療法は未だ存在しない。エネルギー供給の障害で過度な運動によって悪化することも少なくない。今回,呼吸障害を呈したミトコンドリア脳筋症症例に対してリスク管理を行いながら有酸素運動を実施した。症例は60代女性,入院前は呼吸困難により50 m以上の連続歩行が困難でADL制限を認めていた。呼吸補助筋の過緊張と胸郭の可動性低下に対して,リラクゼーションやモビライゼーションなどのコンディショニングから理学療法を開始し,漸増的に有酸素運動を行った。6分間歩行試験を約1週間おきに評価し,6分間歩行試験の悪化や呼吸困難の増悪の有無を確認し運動負荷を決定した。最終的に6分間歩行試験の改善を認め,ADLが向上し自宅退院可能となった。定期的な評価と運動負荷の調整により,呼吸困難の軽減が得られ,継続した有酸素運動が可能となり,最終的に運動耐容能の改善が図れADL拡大に至ったと考えられた。
ISSN:2436-8458
DOI:10.57357/ptkagoshima.3.0_16