未熟児網膜症患者に見られた内斜視の一症例

斜視の症例がしばしば、自由に固視眼を代えたり、現在どちらの眼で固視しているかをはっきりと認識しているという事実に遭遇する。今回我々は、未熟児網膜症の瘢痕期に両眼に黄斑偏位をきたした症例で、同様の固視反応を経験したので、その視機能について報告する。 症例は34歳男性で未熟児網膜症により両眼中心窩は乳頭より5乳頭径耳側に偏位している。眼内レンズ手術が最近施行され、矯正視力は右眼0.5、左眼0.4である。 眼位は一見外斜視を呈しているが、両上斜筋過動を伴うA型75Δ内斜視であった。両眼視機能は存在しないが、眼位によって各眼を使い分けていた。正面と左方の上、中、下方は右眼で、右方の上、中、下方は左眼で...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 27; pp. 117 - 121
Main Authors 平井, 淑江, 寺崎, 浩子, 小嶋, 丈司, 宮崎, 洋次, 鵜飼, 喜世子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 1999
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.27.117

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Summary:斜視の症例がしばしば、自由に固視眼を代えたり、現在どちらの眼で固視しているかをはっきりと認識しているという事実に遭遇する。今回我々は、未熟児網膜症の瘢痕期に両眼に黄斑偏位をきたした症例で、同様の固視反応を経験したので、その視機能について報告する。 症例は34歳男性で未熟児網膜症により両眼中心窩は乳頭より5乳頭径耳側に偏位している。眼内レンズ手術が最近施行され、矯正視力は右眼0.5、左眼0.4である。 眼位は一見外斜視を呈しているが、両上斜筋過動を伴うA型75Δ内斜視であった。両眼視機能は存在しないが、眼位によって各眼を使い分けていた。正面と左方の上、中、下方は右眼で、右方の上、中、下方は左眼で固視をしていた。 結語:右側を右眼でなく左眼で、左側を左眼でなく右眼で固視することは一見矛盾するようであるが、大斜視角の乳児内斜視にみられるcrossed fixationと同様の機序が存在したと考えられる。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.27.117