IV.ロボット支援下直腸手術の現状と未来
ロボット支援下手術は,多関節を有する手術器具,手ぶれ防止機構やmotion scalingによる精緻な動作によって,従来の腹腔鏡手術での操作困難性などの短所を補うことができ,特に直腸癌手術のような,狭い骨盤腔内で精密な手術操作を行うことに適している.本邦では2009年にintuitive社のda Vinci Surgical Systemが薬事承認,2018年4月からはロボット支援下腹腔鏡下直腸切除・切断術が保険収載され,ロボット支援下直腸手術の件数は増加している.現在のところ開腹手術,腹腔鏡手術に対する優越性に関する強いエビデンスはないが,技術的難易度が高い症例での有用性が示唆されている.現...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 72; no. 10; pp. 567 - 574 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2019
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.72.567 |
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Summary: | ロボット支援下手術は,多関節を有する手術器具,手ぶれ防止機構やmotion scalingによる精緻な動作によって,従来の腹腔鏡手術での操作困難性などの短所を補うことができ,特に直腸癌手術のような,狭い骨盤腔内で精密な手術操作を行うことに適している.本邦では2009年にintuitive社のda Vinci Surgical Systemが薬事承認,2018年4月からはロボット支援下腹腔鏡下直腸切除・切断術が保険収載され,ロボット支援下直腸手術の件数は増加している.現在のところ開腹手術,腹腔鏡手術に対する優越性に関する強いエビデンスはないが,技術的難易度が高い症例での有用性が示唆されている.現在いくつかの企業で,新技術を搭載した新型手術支援ロボットが開発されており,今後手術システムの改良による治療成績の向上や,企業間の競合によるロボットや周辺機器の低価格化が期待される. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.72.567 |