多重解像度解析を用いた株式市場の将来予想と構造解明

計量モデルを用いた株価予測は多くの研究者や実務家によって行われているが,計量モデルによる株価予測が可能かについては依然として結論は出ていない.予測変数が持つ長期的な情報と短期的な情報がそれぞれ株価に反映される可能性があること,株価と多くの予測変数の関係は単純な線形ではないことなどにより,株式市場の構造をモデル化することが困難であることが理由として挙げられる.本研究では,このような株式市場の複雑な構造を捉えるために,多重解像度解析により複数の要因で異なる周波数特性の変化を抽出したものを説明変数とし,非線形非連続な関係を表現できるxgboostをモデル作成手法として株価予想モデルを作成し,比較的高...

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Published in現代ファイナンス Vol. 42; pp. 71 - 89
Main Authors 酒本, 隆太, 瀬之口, 潤輔, 小畑, 崇弘, 倉橋, 節也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ファイナンス学会 MPTフォーラム 15.07.2020
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ISSN2433-4464
DOI10.24487/gendaifinance.420003

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Summary:計量モデルを用いた株価予測は多くの研究者や実務家によって行われているが,計量モデルによる株価予測が可能かについては依然として結論は出ていない.予測変数が持つ長期的な情報と短期的な情報がそれぞれ株価に反映される可能性があること,株価と多くの予測変数の関係は単純な線形ではないことなどにより,株式市場の構造をモデル化することが困難であることが理由として挙げられる.本研究では,このような株式市場の複雑な構造を捉えるために,多重解像度解析により複数の要因で異なる周波数特性の変化を抽出したものを説明変数とし,非線形非連続な関係を表現できるxgboostをモデル作成手法として株価予想モデルを作成し,比較的高い予想精度が示されることを確認した.また株価予想モデルが株式市場の局面変化に合わせて変化している様子を示すことにより,大局的な株式市場の構造変化を認識することも可能にした.
ISSN:2433-4464
DOI:10.24487/gendaifinance.420003