3D-CLEMによる海馬シナプスの微細形態解析:内在性組織ランドマークを用いた相関法

光‐電子相関顕微鏡法(correlative light and electron microscopy, CLEM)は,光学顕微鏡(光顕)と電子顕微鏡(電顕)の像の位置を対応させて,標本上の同じ領域を観察する手法である.これにより,光顕と電顕それぞれの利点を生かして得られた情報を統合することができる.近年では,走査型電子顕微鏡を用いた連続画像の取得技術が向上し,3次元の相関法(3D-CLEM)も発展している.生物試料のCLEMでは,観察する生物現象や対象の標識法に応じて様々な相関の工夫が行われてきた.本稿では,脳組織に対してserial block-face scanning electro...

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Published in顕微鏡 Vol. 59; no. 3; pp. 105 - 109
Main Authors 林, 周一, 大野, 伸彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本顕微鏡学会 30.12.2024
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ISSN1349-0958
2434-2386
DOI10.11410/kenbikyo.59.3_105

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Summary:光‐電子相関顕微鏡法(correlative light and electron microscopy, CLEM)は,光学顕微鏡(光顕)と電子顕微鏡(電顕)の像の位置を対応させて,標本上の同じ領域を観察する手法である.これにより,光顕と電顕それぞれの利点を生かして得られた情報を統合することができる.近年では,走査型電子顕微鏡を用いた連続画像の取得技術が向上し,3次元の相関法(3D-CLEM)も発展している.生物試料のCLEMでは,観察する生物現象や対象の標識法に応じて様々な相関の工夫が行われてきた.本稿では,脳組織に対してserial block-face scanning electron microscopy(SBF-SEM)を用いて3D-CLEMを行う手法を紹介する.この手法では,蛍光タンパク質を発現するレポーターマウスを用いて,血管や細胞のような内在構造を目印として位置相関を行う.免疫染色を行わないため,組織形態の保持が良い状態で電顕観察を行うことができる.筆者らが行った海馬のシナプス終末の解析を例として,3D-CLEMの過程を概説する.
ISSN:1349-0958
2434-2386
DOI:10.11410/kenbikyo.59.3_105