心下痞堅を目標に木防已湯を使用し有効であった2症例

木防已湯は慢性心不全による呼吸困難や浮腫に使用されることが多い。今回,心下痞堅を目標に木防已湯を処方し有効であった2症例を経験した。症例1は28歳女性。12年前から時々心窩部痛を認めていたが,当科初診の2ヵ月前に増悪した。検査を施行されたが心窩部痛の原因は分からず機能性胃腸症と診断された。当科に紹介後,種々の漢方方剤で加療を行ったが,症状の改善に乏しかった。症例2は74歳男性。過活動膀胱と通年性アレルギー性鼻炎に対して,八味地黄丸や小青竜湯などを処方し小康を保っていたが,2ヵ月後急に症状が悪化した。2症例とも心下痞堅を目標に木防已湯に転方したところ症状が軽快した。木防已湯は心下痞堅を目標にする...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 72; no. 2; pp. 166 - 170
Main Authors 井上, 博喜, 吉永, 亮, 矢野, 博美, 後藤, 雄輔, 牧, 俊允, 田原, 英一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2021
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.72.166

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Summary:木防已湯は慢性心不全による呼吸困難や浮腫に使用されることが多い。今回,心下痞堅を目標に木防已湯を処方し有効であった2症例を経験した。症例1は28歳女性。12年前から時々心窩部痛を認めていたが,当科初診の2ヵ月前に増悪した。検査を施行されたが心窩部痛の原因は分からず機能性胃腸症と診断された。当科に紹介後,種々の漢方方剤で加療を行ったが,症状の改善に乏しかった。症例2は74歳男性。過活動膀胱と通年性アレルギー性鼻炎に対して,八味地黄丸や小青竜湯などを処方し小康を保っていたが,2ヵ月後急に症状が悪化した。2症例とも心下痞堅を目標に木防已湯に転方したところ症状が軽快した。木防已湯は心下痞堅を目標にすると幅広い症例に使用できると思われた。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.72.166