シラバスからみる大学における介護福祉士養成課程の倫理教育

本稿では、我が国の大学介護福祉士養成課程における倫理教育の現状を把握するため、介護福祉士養成課程のある大学シラバスとカリキュラムを収集し、倫理の科目内容として挙げられている主要項目の抽出を試み、その特徴を分析した。その結果、対象校のほぼすべてに「生命倫理」、「介護倫理」、「倫理」など科目名に倫理を含む倫理関連科目が配置されていたが、選択科目が大半であり必ずしも学生が履修するとは限らないこと、低学年配置であることや講義内容が基礎的知識の教授にとどまっていることなどから、現場における具体的な倫理問題への対処までは習得することが難しい現状が明らかになった。しかし、多くの大学で、介護系専門科目(介護概...

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Published in生命倫理 Vol. 26; no. 1; pp. 35 - 45
Main Author 角田, ますみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生命倫理学会 2016
Japan Association for Bioethics
Subjects
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ISSN1343-4063
2189-695X
DOI10.20593/jabedit.26.1_35

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Summary:本稿では、我が国の大学介護福祉士養成課程における倫理教育の現状を把握するため、介護福祉士養成課程のある大学シラバスとカリキュラムを収集し、倫理の科目内容として挙げられている主要項目の抽出を試み、その特徴を分析した。その結果、対象校のほぼすべてに「生命倫理」、「介護倫理」、「倫理」など科目名に倫理を含む倫理関連科目が配置されていたが、選択科目が大半であり必ずしも学生が履修するとは限らないこと、低学年配置であることや講義内容が基礎的知識の教授にとどまっていることなどから、現場における具体的な倫理問題への対処までは習得することが難しい現状が明らかになった。しかし、多くの大学で、介護系専門科目(介護概論や介護方法論、実習など)のなかで倫理的内容を扱う傾向にあり、倫理関連科目との二本立てにより基礎と応用そして実践としての教育的相乗効果が期待された。
ISSN:1343-4063
2189-695X
DOI:10.20593/jabedit.26.1_35