上行大動脈置換術後に腋窩動脈-大腿動脈間バイパス術が必要となったStanford A型急性大動脈解離の経験

49歳男性. 突然の胸痛, 腰痛および両下肢痛で発症. CTでStanford A型急性大動脈解離と診断された. 入院時, 上肢血圧に左右差はなかった. 両側大腿動脈以下を触知しなかったが, 術前造影CTで腹部臓器血流は保たれ, 両側大腿動脈も造影されていた. 心タンポナーデによるショックとなり, 緊急上行大動脈置換を施行. 術後下肢血圧は安定せず, 尿排泄も少なかった. 翌日には無尿となり尿素窒素, クレアチニン, カリウムが上昇, AST, ALT, アミラーゼも高値を示したため腹部臓器虚血を考え, 左腋窩-左大腿動脈バイパスを作製した. バイパス後は上下肢間の血圧差は消失し, 尿排泄も回...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 15; no. 5; pp. 529 - 532
Main Authors 上山, 克史, 神原, 篤志, 津田, 祐子, 上山, 武史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2006
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.15.529

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Summary:49歳男性. 突然の胸痛, 腰痛および両下肢痛で発症. CTでStanford A型急性大動脈解離と診断された. 入院時, 上肢血圧に左右差はなかった. 両側大腿動脈以下を触知しなかったが, 術前造影CTで腹部臓器血流は保たれ, 両側大腿動脈も造影されていた. 心タンポナーデによるショックとなり, 緊急上行大動脈置換を施行. 術後下肢血圧は安定せず, 尿排泄も少なかった. 翌日には無尿となり尿素窒素, クレアチニン, カリウムが上昇, AST, ALT, アミラーゼも高値を示したため腹部臓器虚血を考え, 左腋窩-左大腿動脈バイパスを作製した. バイパス後は上下肢間の血圧差は消失し, 尿排泄も回復した. その後は順調に経過し, 初回手術後40日で退院となった. 急性大動脈解離に対し上行大動脈置換を行った患者で腹部臓器, 両下肢虚血をきたし, 腋窩-大腿動脈バイパスが有効であった症例を報告した.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.15.529