療育者の困難感尺度作成の試み:信頼性および妥当性の検討

本研究の目的は①療育者の困難感尺度を開発し,その信頼性および妥当性を検証すること,②療育者の困難感尺度と回答者の属性の関係性を検討することの2点であった。全国児童発達支援協議会に加盟する532団体のうち,児童発達支援事業所,放課後等デイサービス,児童発達支援センターを運営する100団体に勤務する職員計324名を対象として調査を行った。因子分析の結果,療育者の困難感尺度は“子どもとの関わり”,“他の職員との関わり”,“事務・労働環境”,“外部機関との情報共有”,“保護者との関わり”の5因子構造であることが考えられた。また,療育者の困難感尺度は十分な内的整合性,および基準関連妥当性の側面において一...

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Published in発達心理学研究 Vol. 35; no. 2; pp. 57 - 69
Main Authors 佐々木, 銀河, 板川, 知央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本発達心理学会 20.06.2024
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ISSN0915-9029
2187-9346
DOI10.11201/jjdp.35.0068

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Summary:本研究の目的は①療育者の困難感尺度を開発し,その信頼性および妥当性を検証すること,②療育者の困難感尺度と回答者の属性の関係性を検討することの2点であった。全国児童発達支援協議会に加盟する532団体のうち,児童発達支援事業所,放課後等デイサービス,児童発達支援センターを運営する100団体に勤務する職員計324名を対象として調査を行った。因子分析の結果,療育者の困難感尺度は“子どもとの関わり”,“他の職員との関わり”,“事務・労働環境”,“外部機関との情報共有”,“保護者との関わり”の5因子構造であることが考えられた。また,療育者の困難感尺度は十分な内的整合性,および基準関連妥当性の側面において一定程度の妥当性があることが確認された。さらに,療育者の困難感尺度と回答者の属性との関係性について分析を行った結果,“事務・労働環境”と療育の経験年数および“外部機関との情報共有”と職位において有意差が確認された。【インパクト】療育者の困難感尺度の開発によって,1)療育者の困難感を定量的に測定できるようになった。さらに,2)この尺度を利用することによって現場で働く療育者が現在どのような困難を抱えているか明らかにすることができ,彼らを取り巻く環境の整備やサポートに役立てることができるようになった。また,3)本尺度の開発により,療育者の困難感とメンタルヘルスの関連性など療育者を対象とした様々な研究に繋げることができる。
ISSN:0915-9029
2187-9346
DOI:10.11201/jjdp.35.0068