当科における甲状腺高分化乳頭癌の切除範囲と再発・予後の解析
1996年~2005年に当科で手術を行った甲状腺高分化乳頭癌症例278例を,全摘群134例,非全摘群144例に分け,再発・予後を解析した。再発は全摘群で21例(15.7%),非全摘群で5例(3.5%)と全摘群で有意に多く(p<0.01),遠隔再発は全摘群で12例(8.9%),非全摘群で1例(0.7%)であった(p<0.01)。原病死は全摘群で3例(2.2%),非全摘群では0例であった(p=0.2)。より進行した症例に全摘が施行されるというselection biasの影響が考えられるが,進行した乳頭癌を手術のみでコントロールすることの限界を示唆している結果とも考えられた。再発リスクの高い症例に...
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Published in | 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 31; no. 3; pp. 214 - 218 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
2014
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2186-9545 |
DOI | 10.11226/jaesjsts.31.3_214 |
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Summary: | 1996年~2005年に当科で手術を行った甲状腺高分化乳頭癌症例278例を,全摘群134例,非全摘群144例に分け,再発・予後を解析した。再発は全摘群で21例(15.7%),非全摘群で5例(3.5%)と全摘群で有意に多く(p<0.01),遠隔再発は全摘群で12例(8.9%),非全摘群で1例(0.7%)であった(p<0.01)。原病死は全摘群で3例(2.2%),非全摘群では0例であった(p=0.2)。より進行した症例に全摘が施行されるというselection biasの影響が考えられるが,進行した乳頭癌を手術のみでコントロールすることの限界を示唆している結果とも考えられた。再発リスクの高い症例においては放射性ヨウ素によるablationなど手術以外の治療戦略を加えることが必要と考えられ,放射性ヨウ素によるablationが施行可能な施設が限られた本邦において,ablationを施行すべき症例を選択する指標の確立が必要と考えられる。 |
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ISSN: | 2186-9545 |
DOI: | 10.11226/jaesjsts.31.3_214 |