副甲状腺癌の発生機序と診断と治療

副甲状腺癌の発生に関して,p53遺伝子異常の関与は示されておらず,HRPT2遺伝子変異が関連していることが示されている。臨床所見では,①頸部に腫瘤を触知 ②汎発性線維性骨炎の併発 ③血清カルシウム値が12mg/dl以上の3点に注意する。穿刺吸引細胞診は禁忌である。免疫組織染色による癌と腺腫の鑑別法として,①parafibromin ②Ki-67 index ③E-cadherinなどが有用と報告されている。副甲状腺癌を疑う場合には初回手術で周囲を含めたen bloc切除術を行うことが局所再発のリスクを減らす。頸部の再発病変のみならず遠隔転移に対する外科手術も予後を改善するうえで意義がある。高カ...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 29; no. 3; pp. 201 - 205
Main Authors 岡本, 高宏, 鈴木, 留美, 飯原, 雅季, 川真田, 明子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2012
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.29.3_201

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Summary:副甲状腺癌の発生に関して,p53遺伝子異常の関与は示されておらず,HRPT2遺伝子変異が関連していることが示されている。臨床所見では,①頸部に腫瘤を触知 ②汎発性線維性骨炎の併発 ③血清カルシウム値が12mg/dl以上の3点に注意する。穿刺吸引細胞診は禁忌である。免疫組織染色による癌と腺腫の鑑別法として,①parafibromin ②Ki-67 index ③E-cadherinなどが有用と報告されている。副甲状腺癌を疑う場合には初回手術で周囲を含めたen bloc切除術を行うことが局所再発のリスクを減らす。頸部の再発病変のみならず遠隔転移に対する外科手術も予後を改善するうえで意義がある。高カルシウム血症を制御する薬物療法としてcinacalcetの保険収載が期待される。手術不能の副甲状腺癌に対して抗PTH抗体を用いた免疫療法が試みられている。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.29.3_201