脳血管障害患者に対する系統的プロンプト・フェイディングを活用したズボン着衣練習

ズボンの着衣練習においては,それを構成している行動要素の難易度がそれぞれ異なり,また作業療法士が提示する言語指示や身体的ガイダンスなどのプロンプトによってもその難易度が相対的に変動する.本研究では,患者のスキルに応じてプロンプトを提示する行動練習プロトコルをズボンの着衣練習に適用した.そして,練習に伴うプロンプト量の時系列変化様式を分析することで,系統的プロンプト・フェイディングがズボン着衣の自立をどのように促進するかを検証することを目的とした.脳血管障害によって急性期病院に入院中の患者6名に対し,スキルに応じてプロンプトを徐々に減らしていく(フェイディング)練習方法を適用した.その結果,全て...

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Bibliographic Details
Published inBehavioral Rehabilitation Vol. 11; pp. 2 - 6
Main Authors 山本, 淳一, 鈴木, 誠, 時任, 英孝, 阿部, 直人, 杉村, 誠一郎, 佐々木, 祥太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 行動リハビリテーション研究会 2023
Society for the Sudy of Behavioral Rehabilitation
Subjects
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ISSN2186-6449
2758-7924
DOI10.60218/kodoreha.11.0_2

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Summary:ズボンの着衣練習においては,それを構成している行動要素の難易度がそれぞれ異なり,また作業療法士が提示する言語指示や身体的ガイダンスなどのプロンプトによってもその難易度が相対的に変動する.本研究では,患者のスキルに応じてプロンプトを提示する行動練習プロトコルをズボンの着衣練習に適用した.そして,練習に伴うプロンプト量の時系列変化様式を分析することで,系統的プロンプト・フェイディングがズボン着衣の自立をどのように促進するかを検証することを目的とした.脳血管障害によって急性期病院に入院中の患者6名に対し,スキルに応じてプロンプトを徐々に減らしていく(フェイディング)練習方法を適用した.その結果,全ての対象者において行動遂行に必要としたプロンプト量が指数関数に近似して減少した.また,全ての対象者の行動が,練習開始から約2.6日以内の短期間で改善した.本研究において用いた患者のスキルに応じてプロンプトを調整する行動練習方法は,ズボン着衣を短期間で改善する方法であることが示唆された.
ISSN:2186-6449
2758-7924
DOI:10.60218/kodoreha.11.0_2