内視鏡下甲状腺悪性腫瘍手術の現状と課題

2016年,甲状腺良性疾患に対する内視鏡手術が保険収載された。これを機に,甲状腺内視鏡手術は急速に普及していくことが予想される。一方,甲状腺悪性腫瘍に対する内視鏡手術は,施行施設が限定的であるために今回の保険収載は見送られ,先進医療Aのまま継続となっている。すでに先駆的施設では内視鏡下の外側区域郭清が行われ,術式の改良や手術器機開発も進んでおり,内視鏡下のリンパ節郭清の質は開創手術に勝るとも劣らないレベルに達している。しかしながら現時点での甲状腺悪性腫瘍手術(先進医療A)の認定実施施設は全国で6施設のみであり,今後の普及のためにも安全性と根治性を高度に両立した術式の確立および定型化が必要である...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 33; no. 4; pp. 210 - 214
Main Authors 有馬, 豪男, 中条, 哲浩, 田上, 聖徳, 新田, 吉陽, 夏越, 祥次, 平田, 宗嗣, 喜島, 祐子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2016
Subjects
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.33.4_210

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Summary:2016年,甲状腺良性疾患に対する内視鏡手術が保険収載された。これを機に,甲状腺内視鏡手術は急速に普及していくことが予想される。一方,甲状腺悪性腫瘍に対する内視鏡手術は,施行施設が限定的であるために今回の保険収載は見送られ,先進医療Aのまま継続となっている。すでに先駆的施設では内視鏡下の外側区域郭清が行われ,術式の改良や手術器機開発も進んでおり,内視鏡下のリンパ節郭清の質は開創手術に勝るとも劣らないレベルに達している。しかしながら現時点での甲状腺悪性腫瘍手術(先進医療A)の認定実施施設は全国で6施設のみであり,今後の普及のためにも安全性と根治性を高度に両立した術式の確立および定型化が必要である。また,関連学会を中心とした手術手技の議論や啓蒙活動も重要であり,悪性腫瘍手術に限らず,甲状腺内視鏡手術を効率よく若手外科医に継承していくための教育システムの構築も急務である。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.33.4_210