父母の養育スタイルと幼児の自己制御および問題行動の関連:父母ペアデータを用いた検討
本研究の目的は,第一に父母ペアデータを用いて,父母個人の養育スタイル(以下,個人レベル)と父母双方の養育スタイル(以下,二者関係レベル)が子どもの問題行動や自己制御の発達とどのように関連するかを検討すること,第二に父母の養育スタイルの組み合わせの類型化を行い,父母の養育スタイルの組み合わせと問題行動および自己制御の関連を探索的に検討することであった。マルチレベル構造方程式モデリングの結果から,個人レベルと二者関係レベルでは自己制御と問題行動の場合で関連する養育スタイルが異なることが示された。肯定的働きかけについては,個人レベルでは自己制御の全ての下位尺度と関連していたのに対し,二者関係レベルで...
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| Published in | 発達心理学研究 Vol. 34; no. 4; pp. 368 - 379 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本発達心理学会
20.12.2023
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| Subjects | |
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| ISSN | 0915-9029 2187-9346 |
| DOI | 10.11201/jjdp.34.0015 |
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| Summary: | 本研究の目的は,第一に父母ペアデータを用いて,父母個人の養育スタイル(以下,個人レベル)と父母双方の養育スタイル(以下,二者関係レベル)が子どもの問題行動や自己制御の発達とどのように関連するかを検討すること,第二に父母の養育スタイルの組み合わせの類型化を行い,父母の養育スタイルの組み合わせと問題行動および自己制御の関連を探索的に検討することであった。マルチレベル構造方程式モデリングの結果から,個人レベルと二者関係レベルでは自己制御と問題行動の場合で関連する養育スタイルが異なることが示された。肯定的働きかけについては,個人レベルでは自己制御の全ての下位尺度と関連していたのに対し,二者関係レベルでは関連がみられなかった。この点について,クラスター分析の結果から,自己主張と自己抑制に対しては,父親の肯定的働きかけと,母親の叱責,育てにくさが重要な要因となることが示唆された。個人レベルと二者関係レベルの結果が異なることから,父母の養育スタイルと子どもの発達の関連については,個人の役割と父母という集団の役割が異なる可能性が考えられる。【インパクト】本研究のインパクトとして,父母ペアの縦断データを用いてマルチレベル構造方程式モデリングを行うことによって,養育スタイルと子どもの問題行動および自己制御の関連を個人レベル,二者関係レベルでそれぞれ実証的に示した点である。さらに,父母の養育スタイルの組み合わせを検討することで,単に変数間の関係を示しただけではなく,父母の相補性のある養育スタイルの可能性についても示唆した。 |
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| ISSN: | 0915-9029 2187-9346 |
| DOI: | 10.11201/jjdp.34.0015 |