TEM/STEM-EDSによる検出限界

透過電子顕微鏡に備わるEDS検出器での極微量元素の検出限界についてAsをドープしたSiウエハの結果をもとに検討した.EDSでのAsの検出限界は,As-Kの場合で30 ppm(1.5 × 1018 atoms/cc),As-Lで70 ppm(3.5 × 1018 atoms/cc)であり,実用的な半導体素子に求められるドーパント濃度のレンジに到達している.スペクトルにK線とL線のように複数のピークが現れる場合,バックグラウンドの小さい特性X線を用いた方が検出限界は小さくなる.検出限界は,計測時間や照射電流量を多くすること,または低い加速電圧でスペクトルを収集することで下げることができる.TEMに...

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Published in顕微鏡 Vol. 53; no. 3; pp. 134 - 139
Main Authors 近藤, 行人, 福永, 啓一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本顕微鏡学会 30.12.2018
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ISSN1349-0958
2434-2386
DOI10.11410/kenbikyo.53.3_134

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Summary:透過電子顕微鏡に備わるEDS検出器での極微量元素の検出限界についてAsをドープしたSiウエハの結果をもとに検討した.EDSでのAsの検出限界は,As-Kの場合で30 ppm(1.5 × 1018 atoms/cc),As-Lで70 ppm(3.5 × 1018 atoms/cc)であり,実用的な半導体素子に求められるドーパント濃度のレンジに到達している.スペクトルにK線とL線のように複数のピークが現れる場合,バックグラウンドの小さい特性X線を用いた方が検出限界は小さくなる.検出限界は,計測時間や照射電流量を多くすること,または低い加速電圧でスペクトルを収集することで下げることができる.TEMに挿入する前に試料をプラズマクリーナーやイオンクリーナーで処理することは,コンタミネーションによるバックグラウンド増加を抑制できるため有効である.
ISSN:1349-0958
2434-2386
DOI:10.11410/kenbikyo.53.3_134