In-resin CLEM:蛍光シグナルに隠れた超微形態を視る

超解像顕微鏡などの蛍光顕微鏡や走査型電子顕微鏡の発達により,蛍光画像の高解像度化および蛍光顕微鏡の視野に匹敵する広領域での超微形態解析が容易になってきた.それに伴いCLEM(光線–電子相関顕微鏡法)も,より高精度な解析手法が求められてきている.In-resin CLEMは包埋前に蛍光標識した生物試料を樹脂に包埋し,そこから作製した同一の超薄切片を蛍光顕微鏡と電子顕微鏡で観察し,得られた蛍光顕微鏡像と電子顕微鏡像を相関解析することにより相関精度を高めた手法である.高精度のIn-resin CLEMの実現には,超微形態保持性が高いエポン樹脂を用いるのが理想的であるが,エポン樹脂自体の自家蛍光に加え...

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Published in顕微鏡 Vol. 59; no. 3; pp. 114 - 118
Main Authors 谷田, 以誠, 山口, 隼司, 角田, 宗一郎, 鈴木, ちぐれ, 内山, 安男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本顕微鏡学会 30.12.2024
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ISSN1349-0958
2434-2386
DOI10.11410/kenbikyo.59.3_114

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Summary:超解像顕微鏡などの蛍光顕微鏡や走査型電子顕微鏡の発達により,蛍光画像の高解像度化および蛍光顕微鏡の視野に匹敵する広領域での超微形態解析が容易になってきた.それに伴いCLEM(光線–電子相関顕微鏡法)も,より高精度な解析手法が求められてきている.In-resin CLEMは包埋前に蛍光標識した生物試料を樹脂に包埋し,そこから作製した同一の超薄切片を蛍光顕微鏡と電子顕微鏡で観察し,得られた蛍光顕微鏡像と電子顕微鏡像を相関解析することにより相関精度を高めた手法である.高精度のIn-resin CLEMの実現には,超微形態保持性が高いエポン樹脂を用いるのが理想的であるが,エポン樹脂自体の自家蛍光に加えて,四酸化オスミウム処理などの化学処理により,多くの蛍光タンパク質・蛍光色素が蛍光能を消失してしまう問題があった.これらを解決するために様々なアプローチが行われてきており,最近では抗原抗体反応を応用して,組織レベルでのImmuno In-resin CLEM(免疫In-resin CLEM)が可能となってきている.
ISSN:1349-0958
2434-2386
DOI:10.11410/kenbikyo.59.3_114