Radiation arteritisと考えられる放射線照射後に発症した腸骨動脈閉塞に対する血行再建の経験

悪性腫瘍に対する放射線治療により,晩期に局所的な血管病変を生じる場合があり,radiation arteritisとして知られている.そのような病態が疑われる症例に対して,放射線照射部位への直接皮膚切開は高い合併症率をきたすことより,直達手術を避け,非解剖学的バイパスおよび血管内治療にて安全に血行再建を行った症例を経験したので報告する.症例 1 は53歳男性であり,35歳時に睾丸腫瘍に対して放射線治療を行い,51歳時より右間歇性跛行が出現した.病変は右外腸骨動脈の完全閉塞であった.非解剖学的バイパス術にて血行再建を行った.症例 2 は59歳の女性であり,40歳時に子宮癌に対して放射線治療を行っ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 18; no. 6; pp. 641 - 645
Main Authors 藤村, 博信, 黒瀬, 公啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 25.10.2009
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.18.641

Cover

More Information
Summary:悪性腫瘍に対する放射線治療により,晩期に局所的な血管病変を生じる場合があり,radiation arteritisとして知られている.そのような病態が疑われる症例に対して,放射線照射部位への直接皮膚切開は高い合併症率をきたすことより,直達手術を避け,非解剖学的バイパスおよび血管内治療にて安全に血行再建を行った症例を経験したので報告する.症例 1 は53歳男性であり,35歳時に睾丸腫瘍に対して放射線治療を行い,51歳時より右間歇性跛行が出現した.病変は右外腸骨動脈の完全閉塞であった.非解剖学的バイパス術にて血行再建を行った.症例 2 は59歳の女性であり,40歳時に子宮癌に対して放射線治療を行った.放射線照射 4 カ月後より間歇性跛行が出現した.病変は両側外腸骨動脈の完全閉塞であり,血管内治療にて血行再建を行った.両症例とも術後,症状は消失した.Radiation arteritisによると思われる間歇性跛行に対し,照射部位の直接皮膚切開を避け,安全に血行再建を行い得たので報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18.641