パルス電子波を用いた時間分解透過電子顕微鏡
透過電子顕微鏡(TEM)にナノ秒を越える時間分解能を獲得させるため,パルスレーザーにより駆動する光陰極型電子源を搭載した時間分解TEMの開発が精力的に進められている.この世界の動向を俯瞰しつつ,時間分解測定により計測が可能となる計測対象を解説する.また,光陰極材料の種類と特性,それに関わる電子線特性を評価する物理量について,相対論的量子力学を復習しつつ見ていく.つぎに,負の電子親和性表面をもつ半導体フォトカソードを用いた,時間分解TEMによる実験結果を用いながら量子力学と電子波の関わりについて理解を深めていく.また,それらに内在する量子性を活用する新しい電子顕微鏡についても触れ,時間分解電子顕...
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Published in | 顕微鏡 Vol. 55; no. 3; pp. 131 - 138 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本顕微鏡学会
30.12.2020
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Subjects | |
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ISSN | 1349-0958 2434-2386 |
DOI | 10.11410/kenbikyo.55.3_131 |
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Summary: | 透過電子顕微鏡(TEM)にナノ秒を越える時間分解能を獲得させるため,パルスレーザーにより駆動する光陰極型電子源を搭載した時間分解TEMの開発が精力的に進められている.この世界の動向を俯瞰しつつ,時間分解測定により計測が可能となる計測対象を解説する.また,光陰極材料の種類と特性,それに関わる電子線特性を評価する物理量について,相対論的量子力学を復習しつつ見ていく.つぎに,負の電子親和性表面をもつ半導体フォトカソードを用いた,時間分解TEMによる実験結果を用いながら量子力学と電子波の関わりについて理解を深めていく.また,それらに内在する量子性を活用する新しい電子顕微鏡についても触れ,時間分解電子顕微鏡の高度化により期待される計測対象を解説する. |
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ISSN: | 1349-0958 2434-2386 |
DOI: | 10.11410/kenbikyo.55.3_131 |