腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術後,経膣的小腸脱出をきたした1例

症例は87歳女性.cStageIIの肛門管癌に対し,腹腔鏡下腹会陰式直腸切除術を施行した.術後2年9ヵ月目に腹痛,嘔吐を主訴に当科を受診した.会陰部より小腸脱出を認め,脱出小腸は壊死しており,緊急手術となった.手術時に会陰部を観察すると,会陰創にヘルニアを認めたがその部位からの腸管脱出ではなく,腸管は膣から脱出していた.開腹操作にて観察を行うと,回腸が膣後壁から腹腔外に脱出・壊死していたため,小腸を切除し吻合を行った.そして骨盤底に大網を充填し膣後壁と固定した後,膣後壁を縫合閉鎖し,手術終了とした.術後16日で退院し2年7ヵ月後再発は認めていない.腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術の術後,経膣的小腸脱...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 73; no. 8; pp. 384 - 388
Main Authors 岩本, 博光, 中村, 有貴, 村上, 大輔, 山上, 裕機, 田村, 耕一, 水本, 有紀, 松田, 健司, 兵, 貴彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2020
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.73.384

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Summary:症例は87歳女性.cStageIIの肛門管癌に対し,腹腔鏡下腹会陰式直腸切除術を施行した.術後2年9ヵ月目に腹痛,嘔吐を主訴に当科を受診した.会陰部より小腸脱出を認め,脱出小腸は壊死しており,緊急手術となった.手術時に会陰部を観察すると,会陰創にヘルニアを認めたがその部位からの腸管脱出ではなく,腸管は膣から脱出していた.開腹操作にて観察を行うと,回腸が膣後壁から腹腔外に脱出・壊死していたため,小腸を切除し吻合を行った.そして骨盤底に大網を充填し膣後壁と固定した後,膣後壁を縫合閉鎖し,手術終了とした.術後16日で退院し2年7ヵ月後再発は認めていない.腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術の術後,経膣的小腸脱出をきたした1例を経験したので報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.73.384