被膜血管の形態よりみた慢性期硬膜下血腫と慢性硬膜下血腫の対比

本来急性血腫でありながらまず保存的治療がなされ, 受傷による神経症状が遷延ないし増悪するために, 慢性期に初めて手術のなされる硬膜下血腫がある3, 6, 9, 12, 14). 中村6)は, 外傷直後より意識障害が続いた急性硬膜下血腫について, 外傷後21日までの間に硬膜に接して形成された肉芽性被膜を組織学的に検索し, 慢性硬膜下血腫の外側被膜との類似性を指摘した. また伊藤ら3)も, 急性硬膜下血腫による凝血が硬膜側から器質化されて形成された肉芽性被膜と, 慢性硬膜下血腫の外側被膜とは同一の組織学的性状を示すとした. 一方著者ら12, 14)は, 慢性期に手術された急性硬膜下血腫は, 一見慢...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. 6; pp. 428 - 436
Main Authors 山嶋哲盛, 山本信二郎, Reinhard L. Friede
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 01.01.1983
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ISSN0470-8105
DOI10.2176/nmc.23.428

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Summary:本来急性血腫でありながらまず保存的治療がなされ, 受傷による神経症状が遷延ないし増悪するために, 慢性期に初めて手術のなされる硬膜下血腫がある3, 6, 9, 12, 14). 中村6)は, 外傷直後より意識障害が続いた急性硬膜下血腫について, 外傷後21日までの間に硬膜に接して形成された肉芽性被膜を組織学的に検索し, 慢性硬膜下血腫の外側被膜との類似性を指摘した. また伊藤ら3)も, 急性硬膜下血腫による凝血が硬膜側から器質化されて形成された肉芽性被膜と, 慢性硬膜下血腫の外側被膜とは同一の組織学的性状を示すとした. 一方著者ら12, 14)は, 慢性期に手術された急性硬膜下血腫は, 一見慢性硬膜下血腫に似ているが, その多くは内側被膜を持たず, 血腫の硬膜側表層に形成された肉芽性被膜の組織像が, 慢性硬膜下血腫の外側被膜と多くの点で対照的な性状を示すとし, これらを“慢性期硬膜下血腫; Acute subdural hematoma in chronic healing stage”と呼称した.
ISSN:0470-8105
DOI:10.2176/nmc.23.428