同種造血幹細胞移植後のホットフラッシュに対して滋陰降火湯が奏効した2例

ホットフラッシュは,生活の質を低下させ,心血管疾患などの危険性を増大させるため,治療の必要性があるものの,確立した治療法はない。今回,造血器疾患に対する同種造血幹細胞移植後に生じたホットフラッシュに対して,滋陰降火湯が奏効した2症例を経験した。症例1は61歳女性,急性骨髄性白血病に対する臍帯血移植後,免疫抑制剤減量中にホットフラッシュ・頭汗・盗汗を認め,滋陰降火湯の投与後,速やかに症状の改善を認めた。症例2は51歳男性,骨髄異形成症候群に対する骨髄移植後の乾性咳嗽・排尿障害に対して麦門冬湯・牛車腎気丸を投与中にホットフラッシュを認め,滋陰降火湯に変更後,緩徐に症状が改善した。いずれの症例も強力...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 76; no. 1; pp. 12 - 19
Main Author 辻 正徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2025
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.76.12

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Summary:ホットフラッシュは,生活の質を低下させ,心血管疾患などの危険性を増大させるため,治療の必要性があるものの,確立した治療法はない。今回,造血器疾患に対する同種造血幹細胞移植後に生じたホットフラッシュに対して,滋陰降火湯が奏効した2症例を経験した。症例1は61歳女性,急性骨髄性白血病に対する臍帯血移植後,免疫抑制剤減量中にホットフラッシュ・頭汗・盗汗を認め,滋陰降火湯の投与後,速やかに症状の改善を認めた。症例2は51歳男性,骨髄異形成症候群に対する骨髄移植後の乾性咳嗽・排尿障害に対して麦門冬湯・牛車腎気丸を投与中にホットフラッシュを認め,滋陰降火湯に変更後,緩徐に症状が改善した。いずれの症例も強力ながん薬物療法などにより陰虚火旺の状態にあり,滋陰降火湯が奏効したと考えられた。同種造血幹細胞移植後のホットフラッシュに対する治療薬の選択肢の一つとして滋陰降火湯を考慮する必要があると考える。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.76.12