炎症性腸疾患の治療において,漢方エキス製剤より煎剤で寛解維持が可能となった2例
炎症性腸疾患(IBD)は寛解・再燃を繰り返す慢性炎症性疾患で,標準治療では寛解維持困難な症例もみられる。今回,エキス製剤よりも煎剤で寛解維持可能であったIBDの2症例を経験した。症例1は40代男性。小腸クローン病の診断で小腸部分切除後,アミノサリチル酸と煎剤にて4年寛解維持していた。煎剤と同内容のエキス製剤に変更直後から,下痢や血便が悪化した。再度診察後に煎剤(補中益気湯合大建中湯加減)を投与した後,症状および小腸粘膜炎症の改善を認めた。症例2は40代女性。潰瘍性大腸炎の診断でイン,フリキシマブと煎剤(補中益気湯合四物湯合桂枝茯苓丸料)にて4年間寛解維持していた。同内容のエキス製剤に変更後4ヵ...
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| Published in | 日本東洋医学雑誌 Vol. 76; no. 1; pp. 28 - 34 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本東洋医学会
2025
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0287-4857 1882-756X |
| DOI | 10.3937/kampomed.76.28 |
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| Summary: | 炎症性腸疾患(IBD)は寛解・再燃を繰り返す慢性炎症性疾患で,標準治療では寛解維持困難な症例もみられる。今回,エキス製剤よりも煎剤で寛解維持可能であったIBDの2症例を経験した。症例1は40代男性。小腸クローン病の診断で小腸部分切除後,アミノサリチル酸と煎剤にて4年寛解維持していた。煎剤と同内容のエキス製剤に変更直後から,下痢や血便が悪化した。再度診察後に煎剤(補中益気湯合大建中湯加減)を投与した後,症状および小腸粘膜炎症の改善を認めた。症例2は40代女性。潰瘍性大腸炎の診断でイン,フリキシマブと煎剤(補中益気湯合四物湯合桂枝茯苓丸料)にて4年間寛解維持していた。同内容のエキス製剤に変更後4ヵ月で直腸粘膜びらん,血便を認めた。再び煎剤に戻し,メサラジン坐薬を追加した後,症状軽快した。IBDの寛解維持においてエキス製剤で効果不十分な場合,煎剤への変更が有用である可能性が示唆された。 |
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| ISSN: | 0287-4857 1882-756X |
| DOI: | 10.3937/kampomed.76.28 |