全大動脈置換術後遠隔期に腹部分枝閉塞による腸管虚血を来した1手術症例

症例は, 胸腹部大動脈瘤の4分枝再建を含む全大動脈置換術後10年の既往を有する44歳, Marfan症候群の男性. 1週間持続する下痢および腹痛, 発熱にて救急来院. 大量の下血を認めたため, 腸管虚血を疑い緊急開腹術を施行した. 上行結腸から横行結腸にかけて, 一部穿孔を含む暗赤色の腸管壊死所見を認め, 血栓閉塞による虚血性壊死性腸炎と診断し, 壊死腸管部分の切除および脾臓摘出を行った. さらに大伏在静脈を用い, 右総腸骨動脈から上腸間膜動脈, 総肝動脈へ2本のバイパス術を施行した. 術後造影検査にて, 腹腔動脈, 上腸間膜動脈ともバイパスグラフトからのみ造影されており, 腹部大動脈人工血管...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 15; no. 1; pp. 29 - 33
Main Authors 國吉, 幸男, 古謝, 景春, 宮城, 和史, 新垣, 勝也, 山城, 聡, 上江洲, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2006
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.15.29

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Summary:症例は, 胸腹部大動脈瘤の4分枝再建を含む全大動脈置換術後10年の既往を有する44歳, Marfan症候群の男性. 1週間持続する下痢および腹痛, 発熱にて救急来院. 大量の下血を認めたため, 腸管虚血を疑い緊急開腹術を施行した. 上行結腸から横行結腸にかけて, 一部穿孔を含む暗赤色の腸管壊死所見を認め, 血栓閉塞による虚血性壊死性腸炎と診断し, 壊死腸管部分の切除および脾臓摘出を行った. さらに大伏在静脈を用い, 右総腸骨動脈から上腸間膜動脈, 総肝動脈へ2本のバイパス術を施行した. 術後造影検査にて, 腹腔動脈, 上腸間膜動脈ともバイパスグラフトからのみ造影されており, 腹部大動脈人工血管分枝再建の吻合部は閉塞していた. 患者は術後2年経過した現在, 元気に社会復帰している.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.15.29