高校生幸福感受イベント尺度の開発

目的 本研究は,経験することにより幸福を感受する高校生のイベントの経験頻度を測定する「高校生幸福感受イベント尺度」の開発を行うことを目的とした。方法 本研究は,調査Ⅰ,Ⅱで構成した。 調査Ⅰは,1因子10項目で構成される「高校生幸福感受イベント尺度」の構成概念妥当性と信頼性および,各項目の性能を明らかにすることを目的として実施した。調査内容は,幸福感受イベントの経験頻度とした。前記尺度の構成概念妥当性は,高校生1,095人のデータを用いて確認的因子分析にて検討し,McDonaldのω信頼性係数により内的整合性を検討した。また,各項目の性能(識別力・困難度)は,項目反応理論を用いて検討した。 調...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 67; no. 10; pp. 711 - 721
Main Authors 石田, 実知子, 渡邊, 真紀, 井村, 亘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 15.10.2020
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.67.10_711

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Summary:目的 本研究は,経験することにより幸福を感受する高校生のイベントの経験頻度を測定する「高校生幸福感受イベント尺度」の開発を行うことを目的とした。方法 本研究は,調査Ⅰ,Ⅱで構成した。 調査Ⅰは,1因子10項目で構成される「高校生幸福感受イベント尺度」の構成概念妥当性と信頼性および,各項目の性能を明らかにすることを目的として実施した。調査内容は,幸福感受イベントの経験頻度とした。前記尺度の構成概念妥当性は,高校生1,095人のデータを用いて確認的因子分析にて検討し,McDonaldのω信頼性係数により内的整合性を検討した。また,各項目の性能(識別力・困難度)は,項目反応理論を用いて検討した。 調査Ⅱは,前記尺度の仮説検証の側面からみた構成概念妥当性を検討することを目的として実施した。調査内容は,幸福感受イベントの経験頻度,人生の満足度,気分で構成した。幸福感受イベントの経験頻度は「高校生幸福感受イベント尺度」,人生の満足度は「人生に対する満足尺度」,気分は「短縮版気分尺度」を用いて測定した。統計解析は,幸福感受イベントの経験頻度が人生の満足度に影響するとしたモデルおよび,幸福感受イベントの経験頻度が気分に影響するとしたモデルを構築し,高校生2,003人のデータを用いてそのモデルの適合性について構造方程式モデリングにより検討した。結果 調査Ⅰの結果より,「高校生幸福感受イベント尺度」について仮定したモデルのデータへの適合度は,CFI=0.932,RMSEA=0.098であり,ω信頼性係数は,0.828であり,各項目の識別力は,0.65~1.06,困難度は,−1.99~2.27であり,いずれも許容できる値であった。 調査Ⅱの結果より,幸福感受イベントの経験頻度が人生満足度に影響するとしたモデルのデータへの適合度は,CFI=0.978,RMSEA=0.060,幸福感受イベントの経験頻度が気分に影響するとしたモデルのデータへの適合度は,CFI=0.952,RMSEA=0.057であり,いずれも許容できる値であった。結論 本研究で開発した「高校生幸福感受イベント尺度」は,因子構造モデルおよび仮説検証の側面からみた構成概念妥当性,内的整合性,各項目の性能が支持されるものであった。本尺度は,高校生の主観的幸福感の向上に向けた支援方法を検討する際の一助になると考える。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.67.10_711