IV.裂肛の手術療法~標準治療を中心に

欧米では様々な薬剤が用いられ保存療法が主流となっているが,本邦では使用できる薬剤が限られているため手術療法も選択肢となる.保存治療に抵抗性の場合や周囲組織が硬化した慢性裂肛では手術適応となる.術式選択にあたっては裂肛の成因を踏まえた検討が重要となる.裂肛の手術療法は術後の肛門機能障害が問題となる.肛門拡張術はこれまで否定的な見解が多かったが,近年バルーンを用いた標準化された方法が報告されている.高齢者,糖尿病,経産婦,再発症例など肛門静止圧が低く便失禁のリスクがある患者にはLISは避け,肛門形成術が推奨される.近年ではLIS後の便失禁リスクを下げるため超音波検査を用いた方法が報告されている.こ...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 74; no. 10; pp. 550 - 556
Main Authors 辻, 順行, 濵田, 博隆, 伊禮, 靖苗, 高野, 正太, 中村, 寧, 桑原, 大作, 山田, 一隆, 玉岡, 滉平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2021
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.74.550

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Summary:欧米では様々な薬剤が用いられ保存療法が主流となっているが,本邦では使用できる薬剤が限られているため手術療法も選択肢となる.保存治療に抵抗性の場合や周囲組織が硬化した慢性裂肛では手術適応となる.術式選択にあたっては裂肛の成因を踏まえた検討が重要となる.裂肛の手術療法は術後の肛門機能障害が問題となる.肛門拡張術はこれまで否定的な見解が多かったが,近年バルーンを用いた標準化された方法が報告されている.高齢者,糖尿病,経産婦,再発症例など肛門静止圧が低く便失禁のリスクがある患者にはLISは避け,肛門形成術が推奨される.近年ではLIS後の便失禁リスクを下げるため超音波検査を用いた方法が報告されている.この項でそれぞれの術式の詳細とその成績を述べる.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.74.550